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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「黒猫・白猫」 1998

黒猫・白猫(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 列車強盗に失敗してしまった男は、借金を帳消しにしてもらうために息子をマフィアの妹と結婚させることにする。セルビア映画。

 

感想

 川辺で暮らす人々の姿を描いた物語。彼らはいわゆるジプシー(ロマ)なのだが、日本人にはそれが直感でピンとこないのが辛いところだ。一部の演者以外は現地の本物の人たちを使っているらしい。彼らは、歯並びだったり服装だったりの外見が色々とすごい。ただ主要人物たちもなかなかの外見なので、どこまでがプロの役者で、どこからがローカルの人たちなのかは全然区別がつかない。

 

 そんな場所で暮らすある男が列車強盗を企てるも失敗し、借金を帳消しにしてもらう代わりに、息子をマフィアの妹と結婚させることに合意したことから始まるコメディ。ただ、笑える映画というよりもユーモア溢れる陽気な映画と言った方がいいのかもしれない。人々は雑然とした暮らしの中でも楽観的で、人生を謳歌しようという気分に溢れている。背景には心が躍るような独特な民族音楽が常に流れており、観ているうちに次第にこちらまで愉快な気分になってくる。

 

 しかし無理やり結婚させられることになった息子とその相手は、渋々結婚を受け入れようとはしているが、内心ではもちろん嫌でたまらない。常に陽気な彼らではあるが、そうあるためには好きな相手と結婚し、家族を持つということが必要な条件なのだろう。逆に言えば、それさえ出来れば満足ということで、だから劇中の年寄りたちはみな口を揃えて「早く結婚しろ」と若者を見れば言っているのかもしれない。そんな妹の幸せを強く望むマフィアの気持ちが、今回の強引な結婚へとつながってしまったと言える。

 

 

 タイトルにもなっている黒猫・白猫は一匹ずつ登場するがほんの僅かだけ。それよりも大量に登場する白いガチョウの方がその何倍も目立っている。黒と白を悪い事・良い事の象徴だとするなら、人生は悪い事よりも良い事の方が圧倒的にたくさんあるのだから、前向きに大らかに楽しく生きようよというメッセージなのかもしれない。

 

 楽しい映画ではあるが、気軽に笑える感じではないので、体調が整っているときに観た方が良さそうな映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 エミール・クストリッツァ

 

出演 バイラム・セヴェルジャン/スルジャン・トドロヴィッチ

 

音楽 ネレ・カライリチ/ヴォイスラフ・アラリカ/デーシャン・スパラヴァロ

 

黒猫・白猫(字幕版)

黒猫・白猫(字幕版)

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黒猫・白猫 - Wikipedia

 

 

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