★★★☆☆
あらすじ
連続して起きた銀行強盗事件を捜査するFBIらは、かつて起きた銀行頭取の弟の誘拐殺人事件との関連性に気付く。
感想
銀行強盗事件の捜査の行方だけでなく、それを追う捜査官や刑事の内面も描きながら物語は進行する。捜査していた麻薬王に妻を惨殺されたFBI捜査官や、がんで闘病中の妻を持つ刑事らが、心の傷を抱えながら信念に従って、任務を行なっている。
なかなか重厚な物語なのだが、やや話が複雑で分かりづらいのが玉にキズ。最初は関連性を把握するのに精一杯だった。今回の銀行強盗の被害者ではあるが、巨悪として描かれるブルース・ウィリス演じる銀行頭取ら側の関係性をもっと分かりやすく見せて欲しかった。彼らの側の主要人物である上院議員なんて、ほとんど登場せずに言葉で説明されるだけだった。
次第に事件の全容が明らかになり、いろいろなものが削ぎ落とされていく終盤は、逆にすっきりと分かりやすくなる。最初からこれくらい分かりやすく物語を進めて欲しかった。ただ少し複雑にしておいたことで、驚きの展開となる伏線をうまく隠すことができたと言えるのかもしれない。
深みのあるはずの映画なのだが、なぜかそうでもない感じがしてしまうのは、肝心の連続銀行強盗事件の結末が曖昧なせいだろう。それまでその捜査の行方を観客は見てきたはずなのに、いつの間にかそれは放り出されてしまって、その背後にいた巨悪を倒すことに登場人物らが夢中になってしまっている。いくらなんでもこれまで削ぎ落としてしまっては駄目だろう。せめてその顛末について言及するべきだった。
役者陣が皆いい演技をしているのだが、その中でも主人公のFBI捜査官の部下を演じたデイヴ・バウティスタが印象的だった。ごつい顔と体をしていて、見るからに荒くれ者といった風貌なのに、物静かで知的な雰囲気をまとっていて、そのギャップが良かった。元プロレスラーらしい。
スタッフ/キャスト
監督 スティーヴン・C・ミラー
出演 クリストファー・メローニ/ブルース・ウィリス/デイヴ・バウティスタ/エイドリアン・グレニアー/ジョナサン・シェック
登場する作品
「The Lurking fear(潜み棲む恐怖)」