BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「来る」 2018

来る

★★★☆☆

 

あらすじ

 結婚し子供も生まれて幸せな生活を送っていた男は、ある日をきっかけに周辺で怪奇現象が起こるようになる。134分。

 

感想

 冒頭からたたみ掛けるように物語が進行していく。息つく暇もなくて見入ってしまうが、それと同時にちょっと考える時間が欲しいというか、ちょっと一息つかせて欲しいと思うようなしんどさも感じてしまった。勢いはあるが、緩急も欲しかった。

 

 最初は妻夫木聡演じる幸せな家庭生活を送る男を中心に物語が進む。そのまま最後まで行くと思っていたので、途中で彼が退場したのには驚かされた。そしてここでそれまでノンストップのハイテンションで描かれてきたストーリーにひと段落が付く。同時にここで、見ているこちらの気持ちが切れてしまったような感覚があった。一旦落ち着いてしまうともう最初の集中力が戻って来ず、まだこの先一時間以上もあるの?と少しうんざりとした気持ちになってしまった。

 

 

 妻夫木聡演じる男が退場した後は、黒木華演じるその妻、そして彼らに関わるようになった岡田准一演じるライターの男へと視点が変わっていく。彼らの目を通すことで、それまで何となく心に引っ掛かりを覚えながらもスルーしていた些細なシーンについての新たな情報が付け加えられ、まともに見えていた人たちの隠された本性が明らかにされていく。最初は明るく朗らかに見えた光り輝く世界が、影の部分を晒されることにより次第に殺伐としたものに見えてくるのが面白い。

 

 個人的には、怪物なんていない、怖いのは人間だった、という筋書きの方が好みだが、この映画では怪物がちゃんといる設定だ。次々と人に襲い掛かる見えない怪物の残虐な襲撃の描写が良くて、最初にそれが表れた、太賀演じるサラリーマンがいきなり血まみれになるシーンは、意味が分からなさ過ぎて笑ってしまった。

 

 そしれてそれを倒すために現れた霊媒師役の松たか子が良かった。敢えてだと思うが、演じる霊媒師のキャラクターが全然彼女のキャラクターとマッチしておらず、違和感がすごい。ちぐはぐな彼女の佇まいは、それだけで可笑しみに溢れていた。元々リアリティのないキャラなので、これぐらいの方がちょうどいい。

 

 正直、怪物については設定が曖昧過ぎてホラー映画的な恐さはあまりなかったが、予測不可能な展開が次々と起きる面白さはあった。ただハイテンションのくせに上映時間が長いのがネックだ。90分サイズの映画だったら、なんだかよく分からないがすごい映画だ、と言えたかもしれないが、これだと、なんだかよく分からなくて長い映画だった、と言いたくなってしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 中島哲也

 

脚本 岩井秀人/門間宣裕

 

原作 ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫)

 

企画・プロデュース    川村元気

 

出演 岡田准一/黒木華/小松菜奈/青木崇高/柴田理恵/太賀/志田愛珠/蜷川みほ/伊集院光/石田えり/小澤慎一朗(ピスタチオ)/猫目はち/レギュラー

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

 

来る

来る

  • 岡田准一
Amazon

ぼぎわんが、来る - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com