★★★★☆
あらすじ
幼い頃に孤児となり里親の家を転々としていた少年は、ある時、純粋な心を持つ人間と認められ、ヒーローの能力と大人の体を授けられる。「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズ第7作目。 132分。
感想
少年がスーパーヒーローの能力と大人の体を手に入れて、悪と戦うヒーローものだ。見た目は大人なのに子供の振る舞いをすることで笑わそうとするコメディでもある。そのため主演のザッカリー・リーヴァイが幼稚さを表現しようと大げさでクサい演技をしており、正直なところカッコ良さは感じなかった。
それから主人公が、自分がスーパーヒーローのキャラクターであると自覚している映画でもある。だからスーパーマンのように空を飛べるのか、鋼鉄の体を持っているのかと試してみてはその結果に一喜一憂したり、冷静に見てしまうとダサい衣装をいじられたりとメタ的な笑いも多かった。
そんな中では、ヒーローオタクの友人が悪役本人に「もしかしてヴィラン(敵役)?」と尋ねたり、主人公に「そいつはヴィランだ、気を付けろ!」と言ったりするのが面白かった。ヴィラン自身もちゃんと自分がヴィランだと自覚しているのも可笑しい。
コメディ要素が強いながらも、主人公とヴィランに共通点があるところや、主人公が子供ぽい甘えを脱却していくところなど、なかなか良く出来たストーリーに仕上がっている。よく考えるとヴィランとの対決は、世界をまったく巻き込まない、こじんまりとした私的な戦いでしかないのだが、主人公は一つ間違えればヴィランになっていたかもしれないと考えると、主人公がダークサイドに落ちた自分自身と戦う物語と見ることも出来て、ヒーローの第一歩としては悪くない。
そして何と言っても主人公がヒーローの座を独り占めしないラストの展開が熱かった。ヒーローの悪い意味での孤高感を払拭し、それと同時に、人種や性別など諸々の違いなど関係なく誰だってヒーローになれるというメッセージが伝わってきた。元気が出る映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 デヴィッド・F・サンドバーグ
原作 キャプテン・マーベル
製作総指揮 ジェフリー・チャーノフ/クリストファー・ゴドシック/ウォルター・ハマダ/ジェフ・ジョンズ/アダム・シュラグマン/リチャード・ブレナー/デイヴ・ノイスタッター/ダニー・ガルシア/ハイラム・ガルシア/ドウェイン・ジョンソン
出演 ザッカリー・リーヴァイ/マーク・ストロング/アッシャー・エンジェル/ジャック・ディラン・グレイザー/ジャイモン・フンスー/アダム・ブロディ/ミーガン・グッド/ロス・バトラー/D・J・コトローナ/クーパー・アンドリュース/ジョン・グローヴァー/デヴィッド・F・サンドバーグ
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ
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