★★★☆☆
あらすじ
配達の途中に立ち寄ったコンビニで、喪服を着た中年女にヒッチハイクされた男。
感想
最初は、小林聡美演じる主人公が不審者過ぎて若干怖い。深夜という事もあり、このままヤバい事件が起きる展開が待ち受けていても不思議ではない雰囲気を醸し出していた。最初は警戒していた加瀬亮演じるドライバーが段々と警戒を解き、気を許すようになってようやく映画にゆるい空気が流れだした。
ミステリアスな謎の女である主人公が、たまたま出会った人々と何気ない会話をしていく物語。そんな女を演じるのが、小林聡美だというのがちょうど良い。このキャストは、若すぎても美人すぎても違う意味合いが出てきてしまいそうだ。彼女なら、不思議な中年女として純粋に見ることができる。
続いて彼女が出会うのは、原田知世演じるかつての知り合い。ここでも二人の会話が繰り広げられるのだが、カメラが固定されてほとんど動きのない映像が延々と続く。見ていると画が動かないことに段々とイライラしてしまって、話の内容が全然入ってこなかった。
ちなみに、この映画の中の原田知世はショートカットで何となくお笑いコンビ・ハリセンボンの箕輪はるかに似ていた。
最後に主人公と出会うのは黒木華演じる若い女。ここまで来るとだいたい話の流れも分かってきたので、安心して観られた。人気のない動物園の中を付かず離れずの距離で歩きながら会話が続く。なんだか久しぶりに動物園に行きたくなってしまった。
相手が見ず知らずの人や二度と会うこともなさそうな人だからこそできる話もある。友人や家族とは普段しないような話が思わず口から出てきて、いつの間にか心が少し軽くなっていたりする。そういう事っていいよな、素敵だなと思うのだが、実際に街なかで小林聡美のような人に話しかけられたら、きっとガン無視してしまうような気がする。悲しい事だが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 松本佳奈/中村佳代
出演 小林聡美/黒木華/原田知世/森岡龍/光石研/市川実日子
音楽 大貫妙子
撮影 大橋仁