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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ブラッド・ワーク」 2002

ブラッド・ワーク (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 心臓移植を受けた元FBI捜査官の男は、臓器提供した若い女性を殺した犯人を見つけて欲しいとその姉から依頼される。

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感想

 心臓移植を受けた元FBI捜査官が主人公だ。引退して静かな生活を送っていたが、自分に心臓提供した若い女性を殺した犯人を、その姉の依頼で探し始める。考えてみれば当たり前なのだが、心臓を提供するということは提供した人は死んでしまったということだ。死んで自分に命を与えてくれた人のために、出来ることはやってあげたいと思うのは自然のことかもしれない。それがトラブルを生むこともあるから倫理規定もあるのだろう。

 

 そういえば、この映画が公開された頃は臓器移植を扱った映画が多かったなと思い出した。この他、「スリー・ストライク法」も取り上げられていて、監督のクリント・イーストウッドはちゃんと時代性を意識しているのだなと感じた。彼の後期の特徴かもしれない。

 

 三度罪を犯すと自動的に終身刑になるスリー・ストライク法は、犯罪の抑止力になるから悪くない法律かと思っていたのだが、三度目の犯罪を行なう者にとっては捕まってしまえば万引きも殺人も変わらないので事件が凶悪化しがち、というのは盲点だった。捕まらないことが重要なので、目撃者を全員殺してしまえばいいと考える者も出てくる。悪質な犯罪ほど罪が重くなることによる抑止力が効かない。

 

 

 被害者女性は、たまたま強盗事件に巻き込まれて殺されたのかと思われていたが、丹念な捜査を進めるうちにそうではないことが分かってくる。しかし、臓器移植目当てで殺人が行われるなんて考えた事もなかったが、そういう事もあり得るのかと怖くなった。怒りや恨みを買って殺されるならまだしも、ぴったりな臓器を持ってそうだからと殺されるなんて浮かばれない。

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 次々と容疑者が浮かび上がっては消えていく捜査の様子は見ごたえがあった。だがついに判明した真犯人には少しがっかりしてしまった。序盤の未解決事件につながってい構成は上手かったが、犯人像は期待していたものとは違った。ただこれもこの時代にはよく見られたパターンではある。

 

 今はあからさまなタイプではなく、一見普通だけど実は異常、みたいな犯人像がしっくりくるような気がする。現代はそんな自分の異常さに無自覚なヤバい人たちがたくさん可視化されている時代だ。突き詰めてしまえば、全人類がこのタイプと言えるかもしれない。

 

 あまり見せ場はなく、クライマックスも控えめで全体的に地味な印象を受けてしまうのは否めないが、それでもサスペンスを楽しむという意味では悪くない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作/出演

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脚本 ブライアン・ヘルゲランド

 

原作 わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

 

製作総指揮    ロバート・ロレンツ

 

出演 ジェフ・ダニエルズ/アンジェリカ・ヒューストン/ワンダ・デ・ジーザス/ディラン・ウォルシュ/リック・ホフマン/イゴール・ジジキン/グレン・モーシャワー

 

音楽    レニー・ニーハウス

 

ブラッド・ワーク (字幕版)

ブラッド・ワーク (字幕版)

  • クリント・イーストウッド
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ブラッド・ワーク - Wikipedia

 

 

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