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「ナイト・サバイバー」 2020

ナイト・サバイバー(字幕版)

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 大けがを負った強盗らに自宅を襲撃され、家族を人質に治療を強要された医師の男。原題は「Survive the Night」。

 

感想

 犯罪中に病院に行くと通報されてしまうので、医者の家に押し入って治療を強要するというプロットは面白いアイデアだったが、それ以降はただひたすらグダグダの展開が続く。

 

 まず押し入った二人の犯人は兄弟なのだが、このうちの弟がろくでもない。たまたま立ち寄ったガソリンスタンドで店員の手元にあるお金を見ただけで、つい強盗をしてしまうし、何の罪もない民間人を躊躇なく殺してしまう。彼の言動がまったく理解できず、ドン引きだ。

 

 

 そして押し入った主人公の家でもさっそく殺しを働き、その他の家族を人質にとる。だが人質を縛り上げたロープの結びが甘くて何度もほどかれてしまうし、それに気を取られている間に別の場所にいた人質には逃げられてしまうしで、もうワチャワチャになっている。ぜんぜんその場をコントロールできず、カオス状態だ。

 

 一方の襲撃された主人公側も、何度も犯人から逃げられたのに全然遠くに逃げようとしないのが解せなかった。森に逃げ込んで隠れるとか、町に出て助けを呼ぶとかすればいいのに、家から離れてはいけないルールでもあるのかと疑ってしまうほど周辺から動こうとはしない。なんならなぜか最終的には家に戻って来てしまうので、え、戻って来たの?と何度か笑ってしまった。

 

 しかもまったく犯人がどこにいるかを気にせず、自由に動き回るのもバカっぽかった。相手は一人が重体で動けないから実質一人しかおらず、その一人から距離さえ取っておけば安全なのに一切確認しようとしない。敵の目と鼻の先で隠れたり、僕が何とかするからしばらくここにいてくれ愛してるよ、と抱き合ったりしている。それで案の定見つかったりするのだから呆れる。のんきすぎだ。

 

 しかし主人公側が、逃げるのではなく犯人を倒すことしか考えていないのはなぜなのだろうか。自分の土地は自分で守るというフロンティア・スピリットの表れなのか。皆が犯人に従順ではなく、主人公の妻でさえも反撃を試みている。だがどれも突発的なもので、すべて失敗に終わっているのがお粗末だ。

 

 相手は銃を持っているとはいえ一人なのだから、個別に動くのではなく皆で協力すれば何とかなるのでは?ともどかしかった。相談する時間もいくらでもあったはずだ。それに農家なのだから武器になりそうなものはいくらでもありそうなものだが、それらを有効に活用しようとする気はほとんどないようだった。

 

 主人公側も犯人側も、これよりベターな方法が100通りくらいはあったのではと思ってしまうような残念な映画だ。特に主人公側は、一時は全員が犯人から逃れられたのに、最終的には結局、ほぼ全員が再び囚われてしまったとか、もはやお笑いでしかない。

 

 それに序盤に秘密兵器かと匂わせていたマッスルカーのダッジ・チャージャーが、ショボい使われ方しかしなかったのにはズッコケてしまった。終盤、観客が犯人にもシンパシーを感じるように持っていこうとしていた節もあったが、嫌悪感しかないのでさすがに無理があった。

 

 とにかくずっとグダグダな映画で呆れるしかないのだが、でも現実に事件が起きたら案外こんな感じになるのかも、と思ったりもする。リアルと言えばリアルなのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 マット・エスカンダリ

 

出演 チャド・マイケル・マーレイ/ブルース・ウィリス

 

ナイト・サバイバー(字幕版)

ナイト・サバイバー(字幕版)

  • ブルース・ウィリス
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ナイト・サバイバー - Wikipedia

 

 

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