「ホテル・アルテミス -犯罪者専門闇病院-」　2018

★★☆☆☆

あらすじ

　過去最大の暴動が起きた近未来のロサンゼルス。会員制で犯罪者専門の闇病院を取り仕切る看護婦は、次々と起こる不測の事態の対応に追われることになる。

感想

　銀行強盗に失敗して負傷した男たちがやって来ることから始まる、闇病院の一日が描かれる。ジョディ・フォスター演じる何やら闇を抱えていそうな病院を取り仕切る老看護婦を中心に、患者の犯罪者たちそれぞれの物語が同時進行で展開していく。

　だがそれらの物語がどうにも上滑り気味で、誰にもまったく感情移入が出来なかった。おそらく、十分に事前の情報を示さないままに本題に入ってしまったからだろう。置いてけぼりを食らった気分を味わって物語に入り込めず、何が起きても特に感情の起伏が起きることなく、ただ眺めるだけになってしまった。印象的に使おうとしていた音楽もいまいちハマっていなかった。

　そんな低調なドラマが延々と続いたのだが、終盤に派手なアクションが見られるようになると面白くなってきた。何故だかはよく分からないが、一部の登場人物らが身を挺して戦う。女殺し屋がメスで相手を刺した後そのまま下まで切り裂くシーンなど、見ごたえのあるシーンがぐっと増えた。

　ウィットに富んだセリフを上手く表現できなかった日本語字幕に問題があったのかもしれないが、もうどうせなら空回りするドラマなど長々とやらずに、武器を持ち込めない病院内で犯罪者たちが殺し合う、単純なアクション映画にすればよかったような気がしてしまった。

　それだと老看護師の存在意義がなくなってしまいそうだが、彼女がばたばたと倒れていく犯罪者たちを高度な医療で次々と治療してしまい、殺し合いがエンドレスに続く設定にすれば無茶苦茶な感じが出て面白いかもしれない。