★★★☆☆
あらすじ
連続バラバラ殺人事件が世間を騒がす世の中で、箱に関わる出来事がいくつか起きる。 タイトルの読みは「もうりょうのはこ」。
感想
戦後まもない日本が舞台。当時の街の様子が上手く再現できているなと思って観ていたのだが、次第に微妙な違和感を感じるようになった。街全体の石造り感が強めだったり、家屋の瓦の様子が少し変だったり。少し調べてみると上海でロケをしたそうで、それがこの違和感の正体のようだ。
おそらく欧米人なら気付かないだろうが、日本人なら絶対気付くだろうレベルの違い。それを日本映画でやってしまっていいのかと思わなくもないが、しょぼいセットやCGの映画を見せられるよりはいいのか。でもそうすると、微妙に間違った日本を登場させがちなハリウッド映画などに、文句を言えなくなってしまいそうだが。
映画は主要登場人物が多く、群像劇ぽい。だた続編ということからか、それぞれのキャラクターを丁寧に紹介されることはないので、前作を観てないと冒頭は特に置いてけぼりを喰らった気分になる。でもどの役者もちゃんと見せ場が用意され、印象に残る演技を披露しているのは良い。この監督特有の演出である、皆が好き勝手に喋っているような、心がざわざわするような空気感も好きだ。
それから、時間軸を入れ替えて、複数のエピソードを交錯させながら描いていく最初の展開もワクワクさせてくれたが、その後はそれらを上手く消化できないまま進んでしまい、釈然としないものが少しずつ心の中に溜まっていくような感じ。
黒木瞳演じる女優が巻き込まれた相続争いも、人間関係がうまく把握できず、いまいち何が争点なのか良く分からなかった。ただこれは最近の核家族化などの影響で、昔より大勢の親族関係を把握する能力が落ちているからでは、という気もするが。複数のエピソードがなんとか一つの物語にまとまっているという印象だが、それらを一つずつちゃんと見たかったというのが素直な感想だ。これとは別に、全13話のテレビアニメが製作されているのも納得できる。
バラバラ死体などのおどろおどろしい描写があって好き嫌いは分かれそうだが、うまくやれば横溝正史の金田一耕助シリーズのように、映画を量産できそうな魅力的な世界観やキャラクター達ではあった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 原田眞人
製作 小椋悟/柴田一成/井上潔
出演
椎名桔平/阿部寛/宮迫博之/田中麗奈/宮藤官九郎/谷村美月/寺島咲/マギー/堀部圭亮 /荒川良々/大沢樹生/清水美砂/篠原涼子/原田遊人/笹野高史
音楽 村松崇継
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