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「NOPE/ノープ」 2022

NOPE/ノープ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 謎の事故で父親を失い、たびたびUFOらしきものを見かけるようになった牧場主の男。

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感想

 UFOらしきものと牧場主の主人公らが戦う物語だ。ただ最初はじっくりと見ていないと見逃してしまいそうなほど、UFOの描写はわずかしかない。スマホの画面で見ていたら気付かなさそうな、映画館の大スクリーンで見るのが良さそうな映画だ。

 

 その後、UFOは少しずつその姿を明らかにしていき、最後にその全貌を露わにする。このじわじわと小出しにする感じや、序盤のコインや鍵を空から降らせて存在を匂わせる描写は面白かった。

 

 

 主人公らは不思議な体験をしてUFOの存在に気付くのだが、一目散には逃げ出さない。牧場が経営難に陥っていたとはいえ、UFOを利用して一儲けしようと企むところがいかにも現代的だ。UFOを倒すのではなく、厳密にはUFOを確実に撮影することが彼らの目標となっている。危険なのに逆に人々がやってくるのも皮肉だ。ただ、これは今に始まったことではない。野次馬根性は人間の習性なのだろう。

 

 そしてメンバーが揃い、いよいよUFOとの対決が始まる。だが、その作戦は彼らのそれまでの体験をもとに考えられたものでしかない。それが正しい確証は何もないので、何をやってもそれで大丈夫なのか?と不安が拭えず、最後まで落ち着かない気分だった。ただ、考えてみればコロナ禍だって、それぞれの経験と雰囲気だけで乗り越えようとしていたわけだから、これが人間のリアルな姿だと言えるのかもしれない。

 

 この映画にはその他にも、人間が他の生き物を操るなんておこがましい、バズるためなら命だって差し出す人がいる、など様々な警句が散りばめられている。そして、いくつもの伏線が丁寧に散りばめられ、その回収の仕方も見事なので、なかなかストーリーも決まっている。序盤に登場人物たちが食事するシーンが多く見られたが、これも生きとし生けるもの、宇宙人だってお腹がすく、と示唆していたのかもしれない。

 

 それから映画「AKIRA」のオマージュなど、遊び心のある映像も多くて興味深かった。ラストはまるで新手の西部劇みたいなエンディングになっていた。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ジョーダン・ピール

 

出演 ダニエル・カルーヤ/キキ・パーマー/スティーヴン・ユァン/ブランドン・ペレア/マイケル・ウィンコット/キース・デイヴィッド/エディ・ジェイミソン/デヴォン・グレイ

 

NOPE/ノープ(字幕版)

NOPE/ノープ(字幕版)

  • ダニエル・カルーヤ
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NOPE/ノープ - Wikipedia

 

 

登場する作品

 

 

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