BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「日本女侠伝 真赤な度胸花」 1970

日本女侠伝 真赤な度胸花

★★★☆☆

 

あらすじ

 北海道の開拓地で、進出してきたヤクザに抵抗していた牧場主らのリーダーが殺され、後任として九州からその娘がやって来る。

www.youtube.com

 

 「日本女侠伝」シリーズ第2作。

 

感想

 北海道の広大な大自然の中で繰り広げられる開拓者たちの戦いの物語だ。シチュエーションが既にそうだが、ストーリー展開や音楽が完全に西部劇を意識している。主演の藤圭子が開拓村にやって来たヒーローで、高倉健がその協力者といったところだろうか。

 

 主人公を助ける男が、最初から味方でなかったのは上手い設定だった。最初は主人公側に敵意すら示していたのに、やがて手助けしてくれるようになるのだからそれだけでドラマだ。ただ演じるのが高倉健なので、本来なら彼が一人で立ち向かう場面だよなと思ってしまうが、今回は脇役なので仕方がない。

bookcites.hatenadiary.com

 

 主人公は、最初の登場シーンでは気の強さを見せるのだが、その後は健気に頑張る可憐な若い女といった印象にとどまっている。ヤクザ者たちを大勢相手にしても怯まず、対等に戦えるだけの力はあるのに、従来の日本映画の保守的な女性像の型からは抜け出せずにいる。

 

 

 「女侠伝」というタイトルから「極道の妻たち」的な肝の据わった女の物語を想像していたのだが、どちらかというと「セーラー服と機関銃」的世界に近かった。このシリーズは元々そういうものなのかもしれないが、それなら最初のシーンはミスリードしてしまうので余計だった。それに主人公がニコニコしすぎな気もする。

bookcites.hatenadiary.com

 

 細かい部分だと、母親を殺された時の子役の、大根にも程があるだろうという棒演技や、馬を追い立てる時の高倉健の引くくらい怖いどら声、藤純子のダサい走り方などが面白かった。

 

 颯爽と主人公が風のように去っていくエンディングで、最後まで西部劇スタイルが徹底された映画だ。単純に大自然や大空の風景が美しく、さらには構図や光と影のバランスを強く意識したグッと来るシーンも多かったので、映像的にも楽しめる。

 

スタッフ/キャスト

監督

bookcites.hatenadiary.com

 

出演 藤純子/山城新伍/山本麟一/小松方正/遠藤辰雄/天津敏/三島ゆり子/橘ますみ/林彰太郎/高野真二/清水元/名和宏/徳大寺伸/国一太郎/五十嵐義弘/唐沢民賢/東竜子/矢奈木邦二郎/村居京之輔/中村錦司/蓑和田良太/香川雅人/小田真士/那須伸太朗/森敏光/椿竜之介/笹木俊志/大城泰/木谷邦臣/宍戸大全/大河内広太郎/志賀勝/山下義明/前川良三/世羅豊/島田秀雄/紅かほる/丸平峰子/牧淳子/浅松三紀子/石山健二郎/小沢栄太郎

bookcites.hatenadiary.com

 

音楽 八木正生

 

撮影 古谷伸

 

日本女侠伝 真赤な度胸花 - Wikipedia

【祝!東映オンデマンド サービス開始】日本女侠伝 真赤な度胸花[公式] - YouTube

 

 

関連する作品

前作 シリーズ第1作

 

次作 シリーズ第3作

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com