★★★☆☆
あらすじ
人間に恋をしてしまった白蛇の精女。中国の古代伝説「白蛇伝」を題材にした作品。
感想
ジェット・リーが主演という事で、80年代くらいの古い映画かと思っていたら、割と最近の映画だった。なのでCGもなかなかのクオリティーで、ハリウッドのファンタジー映画と比べても遜色ないと思えるレベル。そしてジェット・リーは、主演というよりはサブキャラで、やはり白蛇役の女優が主演と言ったほうがいいだろう。
中盤くらいまでは割といい感じのファンタジー映画。登場する女性陣は、化粧品のCMかと思うようなテカテカの画像処理が施されているが、皆美人なのでそれだけでも見ていられる。キャラクターの特徴なのか、中国の女性はやりがちなのか、美女が男性と肩を組むようなシーンがあって、自分もされてみたいとちょっと羨ましく思ってしまった。普通は、酔っぱらった女性の描写としてくらいで、他ではあまり見ないシーンの様な気がする。
白蛇の精女が人間の男性に恋をするも、許されざる恋として引き離されてしまうという悲恋の物語。精女は蛇の妖怪という事で、人魚姫の下半身を蛇にしたような女体化した蛇は、どこか笑ってしまうようなクリーチャーだった。その後は完全な蛇になってしまう事もあって、造形に統一感がないというか、定まっていない感じががして、少しモヤっとしてしまった。
許されざる恋をする二人の前に立ちふさがるのが、ジェット・リー演じる妖怪退治の僧侶。結局は悲しい結末を迎える事になると白蛇を説得し、それを聞かない白蛇を退治しようとするのだが、なんだか彼が二人の仲を引き裂く悪い奴みたいになっているのが可哀そうだ。でも現実世界にもこういう事はある。本当の優しさというのは、時に冷たく見えることがあるものだ。
僧侶と白蛇の対決、そして引き裂かれる二人、と次第に映画はクライマックスへと向かっていくのだが、盛り上げようとする演出がすべて失敗してしまっている感じ。全画面がほぼCGとなって、ドラゴンボール的空中戦を繰り広げるシーンは、ここまでやってしまうとゲームの画面ぽくなってしまって、逆にしょぼく見える。
二人が引き離されるシーンも、スローモーションを使ったりなんかしてベタ過ぎて、逆に冷めてしまう。壮大に、劇的に描こうとすればするほど、見ているこちらのテンションはだだ下がっていってしまうという結果に。冷静になってしまって、僧侶の弟子のように白蛇の恋人も妖怪化して、人間界から遠く離れて二人で幸せに暮らせば良かったのでは?と、元も子もないことを考えてしまった。
スタッフ/キャスト
監督 チン・シウトン
出演 ジェット・リー/ホアン・シェンイー/レイモンド・ラム/シャーリーン・チョイ/ウェン・ジャン/ビビアン・スー
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