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「世界にひとつのロマンティック」 2015

世界にひとつのロマンティック(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 事故で頭にくぎを打ち込まれてしまった女は、医療保険に入っていなかったため手術代を払えず、たまたまテレビで見かけた若手政治家に医療制度の改革を訴えに行く。原題は「Accidental Love」。

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感想

 恋人にプロポーズされたディナーの席で、事故で頭にくぎを打ち込まれてしまった女が主人公だ。脳の損傷によりおかしな言動をするようになってしまう。それで笑いを取りつつ、無保険で手術代を払えない苦境を何とかするために政治家に訴えに行く流れになっていく。

 

 頭にくぎを打ち込まれた状況をコメディにしてしまったり、医療保険制度の問題という固いテーマを扱っていたりと、色々すごいなと戸惑ってしまう。これだけでアメリカの病んだ状況を読み取れてしまいそうだ。タイトルから窺えるようなラブ・コメディというよりは、政治風刺を扱ったコメディといったほうがしっくりくる。

 

 おそらくは重苦しくならないようにしているのだろうが、登場人物たちは皆どこか戯画タッチだ。脳の損傷によりおかしな言動をするジェシカ・ビール演じる主人公や、ベテラン議員の無理難題にオロオロするジェイク・ジレンホール演じる新人下っ端議員のどこか頼りない様子は何度か笑わせてくれた。特に主人公が時々見事なスピーチをして、政治的センスを示してしまうシーンは面白かった。だが全体としてはいま一つで、笑うよりも、キョトンとしてしまうものが多かった。

 

 

 そしてストーリー自体も、とてもあっさりとしたものになっている。起伏がなく、力の入ったシーンもなくて、平坦な印象だ。あとで分かったが、どうやらこの映画は色々と紆余曲折があったようだ。邦題詐欺の元ネタ「世界にひとつのプレイブック」のデビッド・O ・ラッセルが監督していたが製作中止となり、後に彼抜きでそれを無理やり完成させたものらしい。だから映画の監督クレジットに彼の名はなく、仮名の「スティーブン・グリーン」が使われている。そんないきさつを聞くと納得してしまうような出来だった。

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 冒頭で「アメリカン・グラフィティ」を想起させるような古き良きアメリカの姿を描いておいてから、今やすっかり夢見ることも出来なくなった厳しい現実を描こうとしていたが、それを映画そのものではなく、この映画の製作過程で示してしまっているとは皮肉だ。そういった裏話も含めたら面白いのかもしれないが、映画の内容だけだとそんなことはない。

アメリカン・グラフィティ (字幕版)

アメリカン・グラフィティ (字幕版)

  • リチャード・ドライファス
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スタッフ/キャスト

監督 スティーブン・グリーン

 

原案/脚本 クリスティン・ゴア

 

原作 Sammy's Hill: A Novel (English Edition)

 

出演 ジェシカ・ビール/ジェイク・ジレンホール/キャサリン・キーナー/ジェームズ・マースデン/トレイシー・モーガン/ポール・ルーベンス/カート・フラー/ジェームズ・ブローリン

 

 

 

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