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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ソルジャー」 1998

ソルジャー(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 生まれた時から兵士として育てられた男は、遺伝子操作をした新しい兵士たちの登場により不要と判断され、ゴミ捨て場の星に捨てられてしまう。

 

感想

 生まれた時から兵士として育てられ、上官の命令に従うだけだった主人公。そのため演じるカート・ラッセルは全編を通してほぼセリフを口にすることはない。だが、初めて民間人と交流するぎこちない様子だったり、美しい女性をなぜかずっと見てしまって戸惑う様子など、主人公の心情を無表情の中の微妙な変化で上手く表現していて感心した。もともと定評はあるらしいが、意外とカート・ラッセルは演技派だ。

 

 捨てられてしまった兵士が、元上司らが率いる最強部隊を迎え撃つというワクワクするような展開の物語。それと同時に、兵士としてしか生きて来なかった男が、人間らしさを学び、身に着けていくヒューマンドラマでもある。その学ぶ過程が本当に不器用で、なかなかというか、ほぼ全然進歩していかないところがリアルで良かった。生まれてから40年近くもやってきたことをそんなに簡単に変えられるわけではない。相手の気持ちにどう応えて良いか分からないし、そもそも自分の気持ちすら分からない。ふとしたきっかけで習慣から相手を殺そうとしてしまう事だってある。ただそんな彼が、プレゼントされたマフラーをちゃっかりと首に巻いていたのは可愛かった。

 

 

 それから、急に蛇の存在感がグッと増す時間帯があったのもなんか面白かった。その短い時間帯だけ、まるで蛇との果てしない戦いを描くヘビ映画のようだった。

 

 ゴミ捨て場の星で暮らす人々の中でなんとか共に生きようと努力していた主人公の前に、かつて所属した部隊がやって来て突然攻撃を始める。攻撃する意思のない民間人を問答無用でいきなり殲滅しようとするなんて非人道的でかなりひどい話だが、軍隊は放っておくと自然とそんなことをやりだしてしまう組織なので、あり得ない話ではない。そんな彼らに主人公はたった一人で立ち向かう。てっきり住人たちを引き連れて戦うものだと思っていたので、ひとりで戦うのは少し意外だった。

 

 そして主人公はバッタバッタと敵を倒していく。爽快感はあるが、相手はかつて主人公らを簡単にやっつけた新戦力たちなので、こうもあっさりと倒してしまうのかという驚きもあった。ただ実践の場では個別の能力よりも経験を生かした総合力がものを言うという事なのだろう。最後には自分をこの星送りにした因縁の相手との直接対決もあって、映画を盛り上げてくれる。

 

 ラストシーンで、人間味のある行動をする主人公を見て、元部下たちが呆気にとられた顔で見つめ合う姿が面白かった。最後まで楽しませてくれる。でも欲を言えば、最後は高倉健のように皆に惜しまれつつ一人で去って、結局は戦うことしかできない哀しきソルジャー感を出して欲しかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ポール・W・S・アンダーソン

 

出演 カート・ラッセル/ジェイソン・スコット・リー/ゲイリー・ビジー/ジェイソン・アイザックス/コニー・ニールセン/ショーン・パートウィー/マイケル・チクリス/コービン・ブルー

 

ソルジャー(字幕版)

ソルジャー(字幕版)

  • カート・ラッセル
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