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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「生きてるだけで、愛。」 2018

生きてるだけで、愛。

★★☆☆☆

 

あらすじ

 同棲相手の部屋で心を病んで引きこもっていた女は、ひょんなことから無理やりアルバイトをすることにされてしまう。 

 

感想

 躁鬱をくり返し、過眠でいつも眠く、同棲相手にもつい突っかかってしまう女が主人公。主人公自身もそんな自分に嫌気がさしているのが分かるし、何とか打破したいのにそれが出来ないもどかしさにさらに落ち込むというループをくり返しているのもよく分かる。だがそんな調子が延々と続くしんどい展開に、段々とイライラとしてしまった。

 

 そんな心を病んだ主人公を趣里が演じている。少し病的な雰囲気や痩せ気味の体形など、きっとそういう人ってこんな感じなのだろうなという説得力はあるのだが、残念ながらあまり魅力的ではない。感情移入して見ることが出来ず、イライラしてしまったのはきっとそれが大きな要因だ。何とかもがいているのは分かったから、まずは真面目に病院に通った方がいいのでは?などと普通のアドバイスをしたくなってしまった。

 

 

 映画は時々、笑わせたり弾けたりしてテンションを上げようとする意図は感じるのだが、それらがすべて上手くいかず、ずっと沈んだ空気の一本調子の映画になってしまっている。そこまで長くはない映画なのだが、体感時間ではとても長く感じてしまう映画だった。特に一番最初の主人公が突然走り出すシーンがまったく跳ねていなかったのが痛かった。ここがちゃんと印象的なシーンになっていれば、これがあったからこんなひどい状況でも同棲相手は一緒にいるのだなと納得できたし、観客もそんな人だから目が離せないなと興味を持って見られたはずだ。

 

 しかしそんな不安定な彼女でも、受け入れてくれる人たちがいるという事は心強いことではある。主人公がミスしても遅刻しても無断欠勤しても、それでも温かく悠然と迎え入れてくれるバイト先の店長の懐の深さには感心した。こうやって奇特な人たちが差し伸べてくれた手は「蜘蛛の糸」のように大事にしなければならない。そうすることでやがて道が開ける事もある。ただその一方でこの店長は、きっとこの懐の深さがいつか仇となってしまうのだろうなと思わなくもない。

蜘蛛の糸

蜘蛛の糸

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 関根光才

 

原作 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

 

出演 趣里/菅田将暉/田中哲司/西田尚美/松重豊/石橋静河/織田梨沙/仲里依紗

 

音楽 世武裕子

 

生きてるだけで、愛。 - Wikipedia

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