★★☆☆☆
あらすじ
十字軍の戦いに辟易して極東に向かった男は、中国で皇帝の座をめぐる争いに巻き込まれる。
感想
主人公は、ヨーロッパから中東を経て中国へやってくる。陸続きでシルクロードもあるので全然違和感のない展開。こうやって、ヨーロッパと中国が簡単に交わるダイナミックな映画をつくることが出来るのは羨ましい。一応、日本でも出来ないことはないが。
そんなダイナミックな展開で西欧と極東が交わるのに、内容は互いに遠慮しあうような中途半端な仕上がりになってしまっている。十字軍の戦いで心をすり減らしてしまった主人公の再生を描きたいのか、中国の世継ぎ争いを描きたいのか。
とりあえず中国の世継ぎ争いはそんなに描く気がないのは何となく伝わってくる。まず賢帝のように描かれている死期の近い皇帝が、世継ぎ問題をちゃんとしてなかったのが不自然。普通は早い段階から息子たちに誰が継承者か言い含めておきそうなものだ。
そして皇位を継承するも、納得できない兄に父親殺しの汚名を着せられ逃げる若い皇子が、実の姉しか連れていないというのも不自然。普通は側近とかある程度の人数は引き連れていそうなものだ。誰も味方がいないというこの状況では、いくらこちらが正しいとはいっても、さすがにここから挽回するのは難しいのでは、と思ってしまった。
一応は将軍に助けを求めに行くということで、たまたま出会った主人公がそれに力を貸すのだが、それもどこかのんびりとした雰囲気。急ぐ様子も必死さもなく、皇子を含めた全員がそこまで切羽詰まった様子が伝わってこない。主人公を活躍させるためだけに、この極東の地の皇位継承問題を登場させただけなのだな、というのがひしひしと伝わってくる。
クライマックスは、皇子や主人公たちと皇位を狙う兄たちとの戦い。あまり皇子と主人公の関係も描かれなかったし、主人公のこの争いに対する熱い思いも特に無いようだし、なにより主人公に共感するような何かが描かれてきたというわけでもない。なので、ただ傍観者としてその戦いを見ているだけだった。その結果にも、特に何も心は動かない。無の境地。
唯一良かったのは、鬱陶しい前髪を頭の上でちょこんと結わえたニコラス・ケイジが可愛かった事くらい。
スタッフ/キャスト
監督 ニコラス・パウエル
出演 ヘイデン・クリステンセン/ニコラス・ケイジ/リウ・イーフェイ/アンディ・オン
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