★★☆☆☆
あらすじ
同棲していた男が他に好きな女性ができたと出て行き、家賃のやりくりに困っていた女の元に、その男が好きになった女性が転がり込んでくる。
感想
主人公と元恋人、そして元恋人が好きになった女の奇妙な三角関係が描かれていく。主人公と元恋人の間に現れる奔放な若い女を演じる菅野美穂の演技が少し辛いが、彼女のせいというよりも脚本のせいという感じがする。本来であればもっと二人をかき回さないといけないのに、ただ風変わりな女がいる、みたいなキャラクターになってしまっている。おかげでストーリーがぼやけてしまい、何がやりたいのだかさっぱり分からない映画となっている。
そしてこの映画はどこに注目して見ればいいのかもよく分からない。ただなんとなく三人の様子を描写し続けるだけなので、見ているこちらもただ眺めつづけるだけ。とても体感時間が長く感じた。終盤の展開から考えると、菅野美穂演じる若い女を生暖かく見守る男女、という視点でみれば良さそうだ。でもこうやって観客に考えさせるのではなく、自然とそういう風な見方に持っていくのが監督の仕事だろう。
結局何が言いたいのかさっぱり分からない映画だったが、無理やり考えると、待っているだけでなく、ちゃんと押したり引いたりすることも大事、という事か。好きな男が出て行ってしまっても、あきらめきれなければ気持ちを伝えるべきだし、それでも無理だとわかったら、あきらめてサッと身を引いた方がいい。中途半端な状態が続くのが一番よくない。それは男女の関係だけでなく、人間関係全般や様々な局面で言えることだ。
途中で浅野忠信が出てきて、主人公もフラれてしまった事だし何かあるのかなと思っていたのに、そのシーン一回きりの登場で、あれはいったい何だったのだ?と思ってしまったが、客寄せパンダ的な扱いだったのか。中井貴一も同様で、役者陣を見ればなかなか豪華なメンバーではある。だが、役者は揃っているのに全くそれを活かしきれていない、見ごたえのない映画だ。主人公を演じる原田知世が男に襲い掛かるシーンは良かったが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 合津直枝
出演 原田知世/渡部篤郎/菅野美穂/国生さゆり/大杉漣/岡本信人/田邊季正/春名美咲/村上冬樹/橋本菊子/初瀬かおる/阿知波悟美/浅野忠信/日比野克彦/木内みどり
音楽 西村由紀江