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「ヴェノム」 2018

ヴェノム

★★★☆☆

 

あらすじ

 怪しい噂がある研究所に侵入した男性記者は、そこで謎の地球外生命体に寄生されてしまう。

www.youtube.com

 

 「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(SSU)第2作。112分。

 

感想

 宇宙から持ち帰った地球外生命体が、事故により逃げ出してしまうところから物語は始まる。ゾンビぽい展開もあり、ベタではあるが往年のエイリアン映画のようなワクワクドキドキ感にグッと期待が高まった。

 

 だがその後は場面が切り替わり、主人公が登場して別の話がはじまる。これがさして面白くないエピソードばかりで、そんなことよりエイリアンはどうなった?とそちらが気になって仕方がなかった。この二つの話がつながるまでが結構長く、テンションがダダ下がりだった。

 

 

 辛い時間を耐え、ようやく主人公が地球外生命体のヴェノムに寄生されると、本格的に物語が動き出す。よくあるヒーローもののように、主人公が単純に特別な力を手に入れるわけではなく、超人的な力を持ったエイリアンと共存する設定なのが面白い。ひとつの体を共有しているので天使と悪魔的な、あるいはジキルとハイド的な二面性があるキャラクターになった。

 

 主人公とヴェノムが内面で対立する様子で笑いを生もうとしていたが、それはスベリ気味であまりうまくいっていない。ただ、意図的ではないのだろうが、ダチョウ倶楽部の熱湯風呂みたいになったシーンは可笑しかった。

 

 主人公らが、逃げ出したヴェノムを回収しようと襲い掛かって来る敵から身を守ろうとする受け身の展開が続く。だが、ヴェノムが形を変えつつ応戦するアクションシーンは、予測がつかない動きばかりで楽しかった。クライマックスのロケット破壊のシーンは迫力があり、なんだかんだでいつの間にか反転攻勢に出て、スケールの大きいアクション映画になっていた。

 

 ヴェノムはダーク・ヒーローという位置づけだが、正直なところそんな風には見えなかった。ただ彼のやりたいことが人間に迷惑をかけてしまうだけで、別に悪意はない。畑を荒らす熊と同じで、果たしてそれは悪なのか?と考えてしまう。ただ、間違いないのはヴェノムのヴィジュアルが気持ち悪いことで、それで損をしてしまっているような気がする。これはこれで見た目で判断していいのか?という問題が出てくるが。

 

 結果的に面白かったので良かったのだが、よくこんな見た目のキャラをメインで映画を撮ろうとしたなと感心してしまう。ヴェノムと敵との対決を興奮して見ていたが、冷静になると単なるバケモノ同士の戦いだ。これを普通に感情移入できるようにしているのだからすごい。ルッキズムに対する何らかの示唆があるような気がしないでもない。

 

 続編のための土台作りもあって最後もダレてしまったが、正味90分くらい(エンドロールが15分)の映画で、物語もこじんまりとして気軽に見られる感じは嫌いじゃない。最近のアメコミ映画は大作になりがちだが、そればかりだと気疲れをしてしまうので、こういうのも必要だろう。

 

スタッフ/キャスト

監督 ルーベン・フライシャー

 

原作 「ヴェノム:リーサル・プロテクター

 

出演 トム・ハーディ/ミシェル・ウィリアムズ/リズ・アーメッド/スコット・ヘイズ/リード・スコット/ジェニー・スレイト/メローラ・ウォルターズ/ウディ・ハレルソン

 

ヴェノム

ヴェノム

  • トム・ハーディ
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ヴェノム (映画) - Wikipedia

 

 

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