★★☆☆☆
あらすじ
エイリアンの攻撃で荒廃した地球。人類は移住のために避難したが、主人公はパートナーと共に残り、パトロール任務をこなしていた。124分。
感想
エイリアンの攻撃を退けるも荒廃してしまった地球が舞台だ。人類は移住を目指して地球外へ避難したが、主人公はパートナーと共に残ってドローンのメンテナンス業務を行っている。
まず主人公の乗る巡回用のヘリや住居、ドローンなどのデザインがクールだ。近未来を感じられる統一された世界観になっている。また、半壊して埋没したエンパイアステートビルやペンタゴンなど、「猿の惑星」を思い起こすような荒廃した街の様子も想像力を刺激する。
序盤は、他に誰もいない寂莫とした地球で暮らす二人の姿が、叙情的に描かれていく。しっとりとしていて、どこか往年のクラシックなSF映画の趣がある。
主人公がある日、落下した古い宇宙船から一人の女性を救出したことから物語は動き始める。助けた彼女が何度も主人公の夢に出てきた謎の女性だったことから、彼の中に漠然とあった疑念は次第に大きくなっていく。そして、今まで見てきた世界を疑い始めるようになる。
その後は主人公が真実に気付いていく過程が描かれていくのだが、これが非常に分かりづらい。敢えてミステリアスに描いているのだろうが、それにしても説明が下手くそだ。全容がいつまで経ってもぼんやりとしたままで、一向にクリアになっていかない。別に説明が少なくてもいいのだが、もっと的確にやって欲しかった。
それに詳細が明らかになるに従って、逆に謎が深まっていくのがしんどい。ドローンでいいのになぜクローンをわざわざ作ったのか?とか、自分たちが49番と呼ばれているってことは48番や他の番号もいるはずだと考えるのが普通では?とか、主人公だけにスカブは正体を見せれば良かったのでは?とか、疑問が山ほど出てくる。
一番イライラしたのはドアロックの件だ。自分の家のドアを外から開けられないってどんな設定だよ!と思わずツッコんでしまった。それから、こちらが真相を知りたい気持ちで一杯になっているのに、テンポが悠長なままで、全然欲しいタイミングでヒントをくれないのもストレスがたまる要因になっていた。段々と物語に付いていく気が失せてくる。
ドローンとの対決シーンは「スターウォーズ」のようで胸が高鳴ったが、基本的には雰囲気だけの映画といった印象だ。分かりづらかったストーリーも、全貌が明らかになってみればそんなに難しいことはなく、やっぱり説明が下手なだけだった。様々な解釈が出来るような深みもなくて、考察を楽しむようなタイプの映画でもない。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ジョセフ・コシンスキー
脚本 ウィリアム・モナハン*/カール・ガイダシェク/マイケル・アーント**
*ノンクレジット
**マイケル・デブリュイン名義
出演
オルガ・キュリレンコ/アンドレア・ライズボロー/メリッサ・レオ/ニコライ・コスター=ワルドー/ゾーイ・ベル
音楽 アントニー・ゴンザレス(M83)/ジョセフ・トラパニーズ