★★★☆☆
感想
通天閣。行ったことがあるのかないのか記憶は定かではないが、イメージとしてはこの本の感じだ。通天閣というか通天閣を代表とする大阪のイメージ。いろんな人間が出てくるが、「通天閣」というキーワードがそこにあると妙に納得できてしまうような気がする。
共に接点のない男と女の希望のない生活が交互に描写される。男は一人で生きていくことになることをあきらめつつも受け入れ、女はニューヨークへ行った彼氏が今でも彼氏だと言い聞かせながら暮らしている。そこにあるのはいつまで経っても変化のない、さえない日常の繰り返し。
だがいつもと変わらない日常だと思っていても、少しずつ変化が訪れたり、何かがきっかけで突然一気に変わることもある。あきらめていたことや縁がないと思っていたことにだって、もう一度希望が持てるようになる。
交互に描かれる男と女の日常がぼんやりと最後重なり物語が終わるが、よくよく読み返すと既にちゃんと接点があったのでは?といろいろな箇所が気になってきた。明確にストーリーの中で明記されていないけど、そういうことなのだろう、きっと。
著者
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