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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「早春」 1956

早春

★★★☆☆

 

 同じ電車で通勤する女と不倫してしまう男。

 

 毎朝同じ駅から通勤電車に乗る会社員同士が仲良くなって、仕事終わりに皆で集まったり、休日は一緒に出かけたりするなんて牧歌的な時代だ。それぞれ結婚していたりもするが、彼らは今の若い社会人たちよりも随分無邪気に見える。

 

 だけど、映画の中では会社員生活の人生が漂っている。毎日電車に揺られ通勤する何十万人の中に埋没する一人で、人間関係で疲弊し、給料もなかなか上がらない。長年働いたとしても虚しさが残るだけで、辞めるにしても手に職があるわけでもなく何も出来ない。挙句の果てには、若くして死んでいった同僚に対して、そんなリアリティを実感する前に死ねてある意味では幸運だった、とつぶやく始末。

 

 そんな気の滅入るような毎日に倦んだからか、過程を疎かにし不倫をしてしまう男。流れに身を任せその後戸惑っている男と、平気で妻のいる男のもとを訪れる奔放な女との対比が印象的。不倫に気付いて頑なになってしまった妻とも対照的だ。

 

 旦那が酔っ払った戦友たちを連れて帰宅して、「あんな奴らが軍人やってたから、日本は戦争に負けたんだよ」と毒舌を吐く奥さんとか、男の我が子に対する気持ちを吐露するシーンとか、面白いシーンはいくつかあった。互いにあまり語らずに和解するラストは理解できるけど、男がずるいというか、女がそんな役回りだな、という気はした。

 

監督/脚本

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出演 池部良淡島千景岸惠子杉村春子東野英治郎中村伸郎

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早春

早春

 

早春 (映画) - Wikipedia

 

 

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