★★★☆☆
あらすじ
施設で育ち、友人を自殺で失い、今は刑務官を務める男。
感想
ずっと陰鬱な気分が続く作品。主人公は過去の出来事を引きずり、恩師の存在を支えに生きている。
つらい思い出や苛立たしさを抱えながらも、人間が生きていくために必要な事って何なのだろう。この小説にあるように、素晴らしい芸術作品に触れることも生きる気力を与えるものになるのかもしれない。
誰にも評価されないかもしれないが、全力で自分を表現しようとしてきた人たちによる作品。たとえ評価されなかったとしても、全力で自分を表現しようとした作品という事実は消えることはない。そんな人たちの作品に触れると気力がわいてくる。
死刑制度の問題についても考えさせられる作品だが、この問題は考えれば考えるほど難しい問題のような気がしてくる。基本的に賛成ではあるが。
著者
中村文則