★★★★☆
一家離散し、中学卒業後は日雇いで日々を暮らす男が、仕事先で同年代の男に話しかけられ仲良くなる。
主人公の人との距離感がうまく取れない感じが切ない。中卒というコンプレックスがあるし、父親が性犯罪者だという負い目もあり、どうせろくな人間になれないと自暴自棄気味になっている。
そしてこの年頃の人間にとって、孤独に暮らすということは、社会性を身につける大きな弊害となってしまうのかもしれない。己の欲望を素直に口に出すことは良くないことだとか、他者との距離感の図り方など、仲間との付き合いの中で覚えていく。
不幸な環境にいた主人公にはそれがなかった。主人公が自分の一人称を「ぼく」というのにそれが現れているのかもしれない。こういうキャラクターは「おれ」とか使いそうなものなのに、幼稚さとともに、どこか歪なものを感じる。
青春映画にありがちな海で戯れるシーンもあるが、キラキラ輝いた海などではなく、どんよりとした海で戯れる所が、主人公の境遇を表しているようにも感じられた。
彼ほど露骨ではないが、皆彼と同じ部分を持っている。なので、どこかで彼に共感してしまっている自分がいる。
監督
原作
出演 森山未來/高良健吾/前田敦子/マキタスポーツ/田口トモロヲ/佐藤宏/中村昌也
音楽 SHINCO