★★★★☆
あらすじ
役所で空虚な仕事をして過ごす男が、余命幾ばくもない事を知る。キネマ旬報ベスト・ワン作品。
感想
「生きていない」とか「遅すぎる」とか「誰かのせいにするな」とか、だらだらとした日々を過ごしている身には刺さる言葉が次々と飛び出してくる。
自分の人生が残りわずかだという事を知ったとして、多分最初にすることは、きっと残りの人生を賭けて何かを残そうとするのではなく、半分やけになって金を使い、今まで自分が出来なかったこと、したかったことをするだろうなと思う。だから、まずはそうするこの映画はリアリティがある。そして、きっと空しくなって途方に暮れるところまで想像できる。それから改めて考えるのだろう。何をするべきか。
主人公が自分の残りの数か月の人生を何に使うのか、しっかりと決意して動き始めた途端、葬式のシーンへ移るダイナミックさは見事。個人的には彼は無念だったわけでなく、満足して人生を終えたと分かるブランコのシーンで終わって欲しかったというのはある。
人間死ぬ気になれば何でもできるというが、実際のところ死ぬ気になるなんてなかなか難しい、というメッセージも伝わってくる。そして、死ぬ気になれずにまただらだらといつもの日々を過ごしてしまう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
脚本 橋本忍/小国英雄
製作 本木莊二郎
出演 志村喬/小田切みき/小堀誠/金子信雄/千秋実/左卜全/藤原釜足/中村伸郎/浦辺粂子/菅井きん/宮口精二/加東大介
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