★★★★☆
あらすじ
アメリカ南部の保守的な土地で暮らす男が、エイズで余命30日と診断される。
実話を基にした物語。
感想
とりあえずガリガリで登場したマシュー・マコノヒー演じる主人公にゾッとしてしまう。この時点ではまだエイズとは判明していないわけだが、もう見るからにヤバい。ただし最初にこのヴィジュアルを見ておくことで、その後はフラットな感覚でいられる。
やがて医者にエイズで余命30日と宣告されるが、当時は同性愛者の病気という偏見があり、南部の男である主人公は誤診だとして信用しない。普通の人間ならそのまま30日後に死んでしまうのだろうが、この男は図書館で病気について調べ、事実を受け入れ、さらに治療法も詳しく調べ、医者に頼らない自分なりの薬の摂取を行い、宣告された余命通りに死ぬのを免れる。誰かが言っていた「人は無知で死ぬことがある」という言葉は本当なのだなと身に沁みて実感する。
やがては自分の経験を基にして、製薬会社の食い物にならない治療方法を他者にも提供するようになる主人公。なんならエイズの診断を受ける前より羽振りがよくなって、生き生きとしているのが面白い。薬を売ると犯罪だから、売るのではなく配る会員制にするアイデアだとか、世界中に薬を買いに出かける行動力とか、誰でも出来るわけではない主人公の能力の高さが窺い知れる。
主人公は商売を通して同性愛者たちと交流していくことで、彼らへの偏見を取り除いていく。ただこのあたりは単純に美しい話というよりも、エイズの人間は同性愛者、という偏見によって同じくくりにされてしまったからという面もあるので複雑だ。エイズにかかることで同じ側に立ったからこそ、彼らへの理解が深まっただけとも言える。
エイズという病気を題材としていながらも、ジメジメとした暗さはなく、どこかカラッとした明るさすら感じられる。運命だと受け入れるのではなく、生きることに執着してあらゆる情報を入手し、出来ることを出来る限りやるというその姿勢に感動させられた。
スタッフ/キャスト
監督 ジャン=マルク・ヴァレ
出演 マシュー・マコノヒー/ジェニファー・ガーナー/ジャレッド・レト/スティーヴ・ザーン/ダラス・ロバーツ/マイケル・オニール/デニス・オヘア/グリフィン・ダン/ケヴィン・ランキン/アダム・ダン
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