★★★★☆
あらすじ
ギャンブルで借金を負った弟と事業で金が必要な兄が、叔父に唆され殺人を犯す。
別邦題に「カサンドラズ・ドリーム 夢と犯罪」。原題は「Cassandra's Dream」。
感想
兄は投資家として成功することを夢見ていて、弟は小さなギャンブルをしながら気楽に過ごしている、全く性格の違う兄弟だ。だが、二人で小型クルーザーを買うほど仲がいい。
ギャンブル好きな弟はいつも最初は大負けで、最後にツキがまわってきて勝ちを手に入れている。しかし、ある時手を出した大きなギャンブルで多額の借金を背負ってしまう。このあたりの監督のウディ・アレンの描き方がうまい。いつも際どい勝負をしていたことがよく分かる。
そしてそこからこの兄弟の運命が大きく変わっていく。成功のために多少の倫理観をも無視する兄と、借金返済のために仕方なくそれに従う弟。二人の運命が大きく変わっていく。殺しのターゲットと偶然にも言葉を交わしてしまったり、その年老いた母親との関係が示されたり、観ている側も何となく後ろめたさが募っていく。
罪の意識に苛まれる弟とそれを疎ましく感じ始めた兄。だが思っていたような結末ではなく、悲劇的ではあるがそれで良かったような複雑な気持ちになった。仲の良い兄弟、よくよく考えてみれば良い家族だった彼らを、たった一つの大きな過ちが狂わせてしまった。ウディ・アレンの演出がうまいなと感じさせる映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
出演
ヘイリー・アトウェル/サリー・ホーキンス/トム・ウィルキンソン
音楽 フィリップ・グラス
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