★★★☆☆
あらすじ
ボクシングヘビー級チャンピオンの周辺で起きる出来事を描いた連作短編集。
感想
大きな事件も悲惨な出来事も起こらない、ちょっとした日常に起きた小さな出来事を、作者がいつものようにうまく関連付けながら描いていく。今回は女性が結婚すると名字が変わることをうまく利用している。それから時系列を入れ替えるという手法はよく使われるが、20年とか大胆に入れ替える事ができるのは小説ならではなのかもしれない。
面白い、面白くないは別として、登場人物たちがユーモアを忘れない世界観が良い。ちょっと落ち込んだりするような時でも、その状況を楽しみながら乗り越えていく。助けられないかもしれないが、困った人がいれば顔を突っ込んでいく。
高校生の時にいじめられていた登場人物が、そのいじめていた同級生と再会した時の話がしっくり来た。状況的には強い立場にいるが、復讐を果たそうというほど短絡的ではなく、かといって許して相手の今後の幸せを望むほどお人好しでもない。これくらいが人間らしくて丁度よい。
著者
アイネクライネナハトムジーク (小説) - Wikipedia
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