★★★★☆
あらすじ
母親が殺され孤児となった少年は、やがて仲間を見つけ路上で生活するようになる。
感想
なんともやりきれない気持ちになる映画。主人公は母親を殺されて路上生活を余儀なくされ、日々を生きるために犯罪を繰り返している。だけどこの主人公が道を誤ったというのは酷だ。まだ幼い子供に救いの手は差し伸べないくせに、悪いことをするなとただ説教することはできない。そしてそんな彼らを生みだしてしまう環境を変えるには、どこから手を付けるべきなのかすらよく分からず、途方にくれてしまう。
彼らを保護しようとするソーシャルワーカーの人たちは偉いなと感心する。強盗などの犯罪を犯して日々を暮らしている少年たちと積極的に関わろうとする。子供達はそれなりの信頼をおいているようだが、それでも普通にワーカーの人たちの金を盗んだりする。彼らはそうやって生き抜いてきたのだから、簡単に考え方や行動は変えられない。
少年たちは日々を暮らすことに精一杯で、人を思いやる余裕はない。そして遠い未来も思い描くことが出来ない。その時々の感情に基づいて行動している。主人公がバスジャックを行ったのも刹那的な反応だ。
彼はこの環境で生きるには優しすぎたのかもしれない。だけど、もっと強くなければいけない、と言わなければいけないというのはなんて悲惨な状況なのだろう。
少年たちのハードモードの人生に目を奪われてしまうが、ちゃんと伏線を張り巡らしたよく出来た脚本の映画。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ブルーノ・バレット
脚本/製作 ブラウリオ・マントヴァーニ
出演 ミッシェル・ゴメス/クリス・ビアナ/マルセロ・メロ・ジュニオール/ガブリエラ・ルイス