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「サマー・オブ・84」 2018

サマー・オブ・84(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 80年代のアメリカ郊外の街。近所で連続殺人事件が起き、隣人を犯人と疑った少年は、仲間と共に監視を始める。106分。

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感想

 主人公らのTシャツやスニーカー、腕時計などのファッションから、部屋のインテリア、「グレムリン」など言及される映画、さらには映像の雰囲気まで、80年代の風俗を再現することに力を入れまくっていることがよく分かる映画だ。あの頃にたくさん量産されていた少年たちを主人公とした映画の雰囲気をよく捉えている。背景に映り込んでいる小道具などを眺めているだけでも楽しく、ノスタルジックな気分になれる。

 

 主人公らは、深夜のかくれんぼという謎の遊びを恒例行事のように定期的に行っているのだが、そこで使われている懐中電灯が妙に印象に残る。昔から今もずっとあるものだが、この懐中電灯は80年代ぽいアイテムのような気がしてきた。この頃に勢いのあったスピルバーグ監督らが効果的に映画で使っていたからだろうか。光と影を表現できるので映画的なアイテムともいえるだろう。

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 主人公が、殺人犯と疑う隣人を仲間と共に監視するプロットで、序盤は少年たちのひと夏の冒険といった趣が強い。そもそも隣人を疑い始めたのが多感な主人公の思い込みみたいなものからだったので、単なる遊びの延長でそれが本当に事件につながっていくようには感じられなかった。ときどきドキッとさせられるシーンはあるが、基本的にはスカシばかりで、あまり物語に推進力はない。時間の流れが遅く感じた。

 

 

 それにそんな都合よく隣人が殺人鬼だったなんてことがあるわけがないと思ってしまう。このあたりはヒッチコックの「裏窓」と似ているかもしれない。だが隣人が犯人である確証を少しずつ与えながらも、ある場面までは確信に至らないように、観客を疑心暗鬼の状態のままにさせておくのはなかなか難しい芸当だ。このコントロールが上手くいくかどうかで、作品の出来が左右される。

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 主人公らが隣人の家にカメラを持って忍び込むクライマックスは、拍子抜けするほどあっさり終わってしまう。このままでは絶対に終わらないだろうなと簡単に分かってしまったのは少し残念だった。案の定始まった2回目のクライマックスでは、80年代のティーン向け映画では無かったような厳しめの現代的な結末を迎える。80年代風にこだわっていたからこそ生じるギャップをうまく活かしており、この結末は上手かった。

 

 物足りなさはあるが、ちゃんと見どころはある映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 フランソワ・シマール/アヌーク・ウィッセル/ヨアン=カール・ウィッセル

 

出演 グラハム・ヴァーチャー/ジュダ・ルイス/ケイレブ・エメリー/コリー・グルーター=アンドリュー/ティエラ・スコビー/リッチ・ソマー/ジェイソン・グレイ=スタンフォード

 

サマー・オブ・84 - Wikipedia

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