★★★☆☆
あらすじ
金曜の夜、同性愛者が集うバーに立ち寄った男は、一人の男性と知り合う。イギリス映画。
感想
同性愛者の主人公が、金曜の夜に知り合った男と週末を過ごす物語だ。波風を立てずに静かに暮らしたい主人公と積極的に主張していく相手の男、タイプの違う二人が出会い、言葉を交わすことで互いに影響を与え合う様子が描かれている。なんとなく映画「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」を思い起こすような内容だ。
彼らの会話の中心は、同性愛者であることについてだ。彼らの話を聞いていると、世の中がいかに異性愛者に最適化され、性的少数者が疎外されているのかがよく分かる。
彼らが知り合ったのは同性愛者が集うバーで、そういえばなんで異性愛者にはそういうバーがないのだろう?とふと思ったのだが、主人公らからすれば同性愛者が集うバー以外はすべてそういう場所だろうと言うのかもしれない。バーに限らず、学校でも街中でも、どこででも気になる異性がいればタイミングを見てアプローチすればいい。もちろん断られることはあるだろうが、主人公が同じことをした場合ほどのハレーションは起きないはずだ。
彼らはそんな疎外感の中で生きている。スポーツにまったく関心のない人が、野球やサッカーの世界大会で世間が熱狂している時に感じる蚊帳の外感と似ているだろうか。こちらは大会が終われば解消されるが、彼らは世の中が変わらない限り一生味わうことになるものだ。そんな現実と向き合う二人の姿勢に違いはあるが、彼らの寄る辺なさはひしひしと伝わってくる。
そして彼らの特殊性と同時に、恋する者ならだれもが経験する普遍的な感情も描かれている。この物語は金曜日の夜から日曜までの終末3日間の出来事が描かれているが、本当に3日間だったか?と見直してしまったほど濃密だ。出会った翌日の土曜などは、朝に別れた後に昼に会い、一旦帰った後でさらに夜も会い、と合計三度も会っていた。これなどは恋愛初期の熱に浮かされたような気分が良く表れている。気持ちはよく分かる。
とある週末の恋物語だ。正反対の性格だった二人が出会い、恋をしたことで互いに少しポジティブな変化が生じているのも良い。ラストも綺麗にまとまっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 アンドリュー・ヘイ
出演 トム・カレン/クリス・ニュー
ウィークエンド (2011年の映画) - Wikipedia