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「お受験 OJUKEN」 1999

お受験

★★★☆☆

 

あらすじ

 企業の陸上部に在籍する男は、娘のお受験を控えながら、業績不振のあおりを受け解雇されてしまう。

 

感想

 矢沢永吉演じる主人公自身の解雇やそれに伴い陸上を続けられない状況に、娘のお受験と妻の社会復帰と、一家の中で様々な出来事が起こっているが、どれも中途半端に描かれているような印象を受けてしまう。お受験の滑稽さをコミカルに描くのか、陸上だけでやってきた男が中年になって節目を迎え、この先どう生きていくのか苦悩する姿を描くのか、明確にしたほうが良かった。この2つをうまく融合させようとして失敗してしまっている。

 

 お受験の話の中で、受験する学校の上層部にいる老人たちが満足するような受け答えができるようにならなければいけない、彼らは若い頃、50年前の古き良き日本の価値観で生きている、と主人公が指摘されるところがあって、なるほどなと思った。教育の場に限らず、大抵の老人は自分たちがバリバリ働いていた時代の価値観で物事を考えている。ということは、若い頃を古き良き日本と思わない世代、バブル後の日本を生きた世代が政治や企業や教育の場で主導権を握るまでは、日本は古き良き時代の幻影を追い続けることになるのか、と暗澹たる気分になった。2040~50年まで日本はこんな感じなのか。

 

 

 最後のレースと決めたマラソン大会と娘のお受験の日が重なってしまった主人公。受験の日取りは変えてもらうことが出来るのに、それもせず当日を迎える。そこで主人公が取った驚きの行動、そして感動のラスト、としたつもりなのだろうが、やるべきことちゃんとしなかったくせにどっちも取ろうとするからそんな中途半端なことをすることになるのだ、と説教したくなった。なんなら過去の話にまでさかのぼって、そんな考え方で生きてきたから一番になれなかったんじゃないの、と。

 

スタッフ/キャスト

監督 滝田洋二郎

 

脚本 一色伸幸

 

出演 矢沢永吉/田中裕子/大平奈津美/西村雅彦/大杉漣/余貴美子/徳井優/岸部一徳/鈴木一真/笹野高史/本田博太郎/永島敏行/谷川真理/でんでん/広岡由里子/螢雪次朗/大沢在昌

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