★★★★☆
あらすじ
ロッキーの良きライバルだったアポロ・クリードの息子は、恵まれた生活を棄ててボクシングに打ち込むことを選び、ロッキーに指導を求める。
「ロッキー」シリーズの続編、スピン・オフ作品。
感想
「ロッキー」シリーズのスピン・オフ作品で、ロッキーの良きライバルだった男の息子が主人公だ。愛人の子だった主人公は母親が死んだあとは孤児院で喧嘩ばかりして過ごし、その後、金持ちの義母に引き取られて恵まれた生活を送る。手の付けられない貧しい不良だったのに金持ちのエリートになれるなんて、なんとも幸運な人生だ。逆だと悲惨だが。お金がだいたいの問題は解決してくれる。
だが、偉大なボクサーの息子である主人公は、順風満帆な生活を捨て、ボクシングの道を選ぶ。そしてロッキーに弟子入りして練習に励む。シリーズを見てきた人なら、ロッキーの登場からして胸が熱くなる展開だが、その後、チャンピオンの噛ませ犬として試合を組まれて猛特訓する流れは、シリーズ第一作のストーリーを踏襲していて、これもまた感慨深い。
そして主人公のサポートをするロッキーにも戦いが用意されている。老齢の彼にさすがにボクシングをさせるわけにはいかないが、それでも人生とは常に戦いであるということなのだろう。最初は簡単にあきらめてしまうのだが、主人公らの説得に奮い立ち、ファイティングポーズを取って立ち上がる。それでこそロッキー、と思わせてくれるシーンだった。人生で常に戦い続けなければいけない相手は、すぐにさじを投げてしまおうとする自分自身だ。
クライマックスは勿論、ボクシングの試合のシーンだ。育ちの良さもあってか主人公にロッキーほどの泥臭さはなく、ガムシャラのなかにもスマートさを感じてしまうのだが、それでもなんだかんだでラウンドが進むにしたがって胸が熱くなっていく。しかし、これだとなにやっても感動してしまうのではないかと思ってしまうようなフォーマットだ。ある意味で発明と言えるだろう。最終ラウンドは目頭が熱くなった。
出来過ぎた最高の結末ではないけれど、それでもカタルシスのある終わり方でいい余韻が残る。もうちょっと気力だけで動くぐちゃぐちゃな主人公の姿を見たかったが、全体的にバランスよくまとまっている映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案 ライアン・クーグラー
制作 アーウィン・ウィンクラー/チャールズ・ウィンクラー/ロバート・チャートフ/ウィリアム・チャートフ
製作/出演 シルヴェスター・スタローン
出演 マイケル・B・ジョーダン/テッサ・トンプソン/フィリシア・ラシャド/アンソニー・ベリュー/グレアム・マクタヴィッシュ/アンソニー・ベリュー/ウッド・ハリス/アンドレ・ウォード/ガブリエル・ロサド
音楽 ルートヴィッヒ・ヨーランソン
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