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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「告白」 2010

告白

★★★★☆

 

あらすじ

 終業式が終わった後の生徒がざわつく教室で、淡々と告白を始めた女性中学教師。

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感想

 主人公の女性教師が、生徒たちが全く話を聞いていないようなザワつく教室で淡々と喋っているシーンから始まる。生徒たちを静かにさせる気もなく喋りつづける主人公の姿に、ただ事務的に仕事をしているだけなのだろうなと思っていたら、段々と予想もしていなかった方向へと話が進んでいく。 

 

 そして、それがラストシーンでもいいのでは?と思ってしまうような衝撃的な告白があって第一幕が終わる。ペース配分は大丈夫なのかと心配してしまうが、掴みはOKなスタートだ。

 

 

 その後は、彼女の行為が引き起こしたいくつかの出来事が、数人の目を通して描かれていく。中でも岡田将生演じる後任の勘違いした熱血教師ぶりが面白かった。こういうひとりよがりで勝手に気持ちよくなっている迷惑な教師はたまに見かける。なにも教師に限った話ではないが。

 

 だがそんな暑苦しい教師よりも、彼を適当にいなしている生徒たちの方が厄介だ。決して教師と真正面から対立することはないが、そうならない範囲でしたたかにやりたい放題やっている。時には教師の好意を利用して悪事を行なうことさえする陰湿さだ。悪意が渦巻いている。

 

 皆の規範やモラルが少しずつ緩んでいって、こんなひどい状況になってしまったのだろう。多様性のない閉じた集団では起こりがちなことだ。過剰に描いてはいるのだろうが、こうなってしまったらもはや修正は効かないような気がする。集団から一人ずつ切り離し、別のまともな集団の中に入れて行くしかない。

 

 そんな生徒たちの中で起きた事件に対する主人公の復讐が描かれる。このジャンルは、復讐に意味はあるのか?とヒューマンな問いかけがされがちだが、この映画ではそんな気配が微塵もなく、絶対に復讐する、と主人公の揺るぎのない断固たる決意が伝わってくるのが気持ちが良い。

 

 それぞれの生徒に様々な事情があったことを描きながらも、そんなの知らん、絶対に許さん、と突き進んでいくスタイルだ。原作に漂っていたような嫌な感じはなくて、むしろその徹底ぶりに爽やかさすら感じるほどだった。あまりに清々しくて笑ってしまいそうになる瞬間もあった。そんなに復讐がうまくいくかなと思わなくもないのだが、主人公の強い意志ならたとえそうはならなくても、何らかの形で必ずやり遂げただろうなと思わせる説得力がある。

 

 ずっと張りつめた空気が漂う展開で、ちょっと一息つけるシーンが欲しかったが、最後までグイグイと引っ張っていく映画だ。少年が発明した逆回転の時計をうまく利用したクライマックスの演出も見応えがあった。レディオヘッドの主題歌をはじめ使われている曲も良い。本編はそうでもなかったが、予告編を見ると「バトル・ロワイアル」を意識していたのかなと思わなくもない。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 中島哲也

 

原作

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出演

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木村佳乃/芦田愛菜/新井浩文/鈴木惣一朗/井之脇海/知花/橋本愛/能年玲奈/三吉彩花/藤原薫/西井幸人

 

音楽 金橋豊彦

 

告白

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告白 (2010年の映画) - Wikipedia

 

 

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