★★★☆☆
あらすじ
強盗で妻と娘を殺したにも関わらず、十分な証拠がないために軽い刑になった犯人と、司法取引を行った検察をはじめとする法の番人たちに報復を開始した男。
感想
警察の不法捜査のせいで犯人が軽い刑になったら、被害者としてはたまらない。法律が被害者の事は考慮していないことがよく分かる。そして、そんな法律に基づいて検事も弁護士も裁判官も行動する。被害者からしたら当事者のはずなのに全然かえりみられていないことに憤りを感じるのは理解できる。
裁判から十年後、被害者であったジェームズ・バトラー演じる男は犯人と裁判の関係者たちに復讐を開始する。しかし彼がすごい経歴の男とは全然分からなかった。もうちょっと事前に仄めかしておいて欲しかった。あえて捕らえられ、刑務所の中から次々と復讐を行っていく。このあたりはなかなか緊迫感があって見応えがあった。
ただ次第にその手口が明らかになってくると、出来過ぎ感と刑務所のずさんさに呆れる部分もでてきた。特に刑務所の中にいながら様々な犯行を行えた理由がわかった時はちょっと脱力した。ちゃんと刑務所は仕事しようよと言いたくなってしまった。
犯人たちはともかく、法曹関係者たちは普段どおりの仕事をしていただけなのにこんな目にあって気の毒ではあるが、でもどちらかと言えば妻と娘の復讐をする男の側に立ってしまっている自分がいた。なので、復讐は大成功!で終わるわけはないとは思っていたものの、翻弄され続けたジェイミー・フォックス演じる検事が、最後だけクールに決めてきたのは納得がいかなかった。
この検事は結局最後まで被害者の感情を蔑ろにして申し訳なかった、という後悔などは見せず、ああするしかなかった、という姿勢のままだった。別に家庭を大事にするようになったとかはいいから、職務上の姿勢に変化が見られたとかそういうのを見せて欲しかった。かっこいい台詞もあの時だけで、どうせ裁判はこれまで通りのやり方を続けるのだろうなとしか思えなかった。
スタッフ/キャスト
監督 F・ゲイリー・グレイ
脚本/製作 カート・ウィマー
製作/出演 ジェラルド・バトラー
出演
ブルース・マッギル/レスリー・ビブ/コルム・ミーニイ/ヴィオラ・デイヴィス/レジーナ・ホール
編集 タリク・アンウォー