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「ザ・フォーリナー/復讐者」 2017

ザ・フォーリナー/復讐者(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ロンドンでの爆破テロにより娘を失った男は、復讐のために元過激派で現在は北アイルランドの副首相を務める男に接触を図る。

 

感想

 冒頭でいきなり主人公の娘が殺され、そのまま重苦しい展開が最後まで続く。序盤、失意の主人公は、警察や政治家にしつこく犯人を教えるように迫る。事件の被害者で辛い状況であることは理解できるのだが、これでは精神状態がおかしくなってしまったヤバい人だ。悲しみを紛らわすために彼らを利用しているようにも思えてしまう。彼らからすれば捜査の邪魔でしかない。むげに扱うことも出来ない厄介な存在だ。

 

 そして元過激派の北アイルランドの政治家に付きまとうことになった主人公。やがて実行犯との関係は明らかになるのだが、この時点ではまだそれは分かっておらず、彼に執拗に迫る主人公は、ここでも思い込みの激しい人にしか見えない。そしてピアース・ブロスナン演じるこの政治家も、テロを企てる裏の顔はあるのだが、犠牲者を出しては駄目だという考えを持っているので、悪いことは悪いがそこまで悪い人間には見えない。どちらかというと先鋭化していく仲間たちに迷惑をかけられる被害者かもしれない。仲間だけでなく妻にまで軟弱になったと責められる政治家には、彼には彼の苦悩があるのだなと同情してしまう。事件の真相が明らかになると、彼のピエロ感はより浮き彫りになる。

 

 

 ジャッキー・チェンが主演だけに、途中で何度か激しいアクションシーンもあり、それなりに見応えがあった。ほんの一瞬ではあるが、最近では珍しいジャッキーの修行シーンもあって、ニヤリとしてしまった。ただこの映画はアクションよりも、政治家や官僚組織の政治的駆け引きに重点を置いている印象だ。それぞれが国や組織の体面のため、そして自分自身の保身のために、キレイごとではないドロドロとしたやり取りを水面下で行っており、緊迫感がある。

 

 クライマックスでは、ついに実行犯を突き止めた主人公が、彼らのアジトに乗り込んでいく。警察が準備を整えて突撃する寸前だったので、もはや完全に彼らの行動を妨害していると言える。でも警察が強行突入して犯人を殺害すると、過激派組織を一層刺激することになってしまうので、事件の被害者が復讐したという形の方が皆の共感を得られて、両者にとって都合が良いのかもと思ったりもした。被害者が復讐をしないといけない国なんて嫌だが。

 

 必死の思いで娘の仇に迫った主人公なのに、どさくさの中で倒すだけという呆気ない幕切れに拍子抜けしてしまった。復讐なのだからしっかりと因果を含めた上で倒して欲しかった。これではカタルシスがない。これなら別に遠隔で得意の爆弾を使っても良かったのでは?と思ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 マーティン・キャンベル

 

原作 チャイナマン (新潮文庫)

 

製作/出演

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出演 ピアース・ブロスナン/マイケル・マケルハットン/ケイティ・ルング/リウ・タオ

 

音楽 クリフ・マルティネス

 

ザ・フォーリナー/復讐者 - Wikipedia

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