★★☆☆☆
あらすじ
天界で人間たちの人生を決めている脚本家が、不本意なシナリオの進行を阻止するためにお茶汲み係を地上に送り込む。
感想
人生の脚本に斬新な設定を加えようとした事が、他の人々の人生の脚本の書き換えにつながり、整合性を保つために死ぬことになってしまった一人の女性。それを阻止するために脚本を書き換えると、また関連する多くの人々の人生の脚本を書き換えなければならなくなる。というわけで、そんな脚本とは無関係の、すでに天界にいるお茶汲み係である主人公が地上に派遣される。
しかし主人公は大丈夫だとしても、主人公が誰かの人生に影響を与えたら、それに波及して多くの人々の人生に影響を与えることになるのだから、結局同じじゃないの?と思ってしまう。すでにこの時点で、もやもやする。
さらに女性を助けるというのも、十分に余裕があったにもかかわらず、走らなければ間に合わないような直前ギリギリに動き出すので、やる気があるのかすら良くわからなかった。真面目にやれと。
そして、これが地上にやって来た目的だったので、それが終わったのだから天界に戻ればいいのになぜか戻らない。ここからが長いのに、正直、この先この映画がどこに向かって、何をしようとしているのかが見えなかった。ただ目的もなく漂う主人公たちを見ているだけで、これ何の時間?と聞きたくなってしまう。
運命なんかを信じてあきらめたりしないで、自分の人生は自分で切り拓け、と言いたかったのだとは思うのだが、それ以前に色々とモヤモヤしてしまって心に届かなかった。
意味なく主人公が天使の翼をつけたりして、ビジュアル的にこだわりたかったようにも感じるが、ちょっと取ってつけたというか、わざとらしさが鼻についた。コメディ部分も多かったはずだが、意外と松山ケンイチが下手で、ここ面白いところですよ、という顔をするので逆に笑えなかった。
それからどんな映画やドラマでも、メンタルな理由で声が出ず、喋れないキャラが登場する場合は、絶対後半に声を取り戻して喋れるようになるシーンがある。もうこれはお約束すぎて、相手するのがしんどい。余程の自信がある時以外はもうやらないで欲しい。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 SABU
原作 天の茶助 (幻冬舎文庫)
出演
大野いと/大杉漣/伊勢谷友介/田口浩正/玉城ティナ/寺島進/RYO/今野浩喜/オラキオ