★★★☆☆
あらすじ
被差別部落に生まれた少年の成長。
感想
被差別部落の人間は一般の人たちと交わらないように隔離されているのかと思っていたが、そうでもなかった。建前上は明治になって差別がなくなった事になっているからか。そうはいっても学校でも他の集落の生徒に馬鹿にされ、教師ですらどこかに差別の感情を匂わせている。大人も他の人間と同様に働いていても、休憩時や賃金をもらうときに明確に違う扱いをされる。
今日から身分の差はなくなり皆平等です、と言われたって急に平等になるわけがない。皆と同様に暮らしているようでいて、ときおり明確に差別された扱いを受ける、というのもかなりきついことだ。
そんな理不尽な扱いに耐え、時に戦いながら、主人公とその兄は成長していく。この兄弟が、子役から渡部篤郎と杉本哲太に変わった時は、変わりすぎて一瞬誰が誰なのか見失ってしまった。やがて主人公は部落解放運動へ乗り出していく。
さぁこれから、みたいな所で映画は終わってしまって、若干肩透かしを食らったような気分になるが、まぁその後のことはだいたい分かるからいいだろう、ということなのかもしれない。少年の成長とともに、農村で働く人々の美しい姿が印象的な映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 東陽一
出演 大谷直子/中村玉緒/杉本哲太/渡部篤郎/萩原聖人/辰巳琢郎/高岡早紀/安永亜衣/中島ひろ子/寺田農/中村嘉葎雄/高橋悦史/大杉漣