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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「幕末純情伝」 1991

幕末純情伝

★★★★☆

 

あらすじ

 男装した女剣士・沖田総司と、土方歳三・坂本龍馬の三角関係が描かれる。105分。

 

感想

 女剣士の主人公、沖田総司に恋をする土方歳三と坂本龍馬の三角関係が描かれる。主人公は土方歳三に思いを寄せているのだが、剣術で負けた土方歳三はプライドが邪魔して素直になれず、坂本龍馬はそれを知りながら横恋慕している。

 

 傍から見ればなかなか面倒くさい関係だが、それをどこか80年代アニメ風のラブコメとして描いていく。細かいギャグとドタバタに満ちていて、躍動感があるのが印象的だ。原作が劇作家のつかこうへいだからというのもあるだろう。今でも舞台でやっているようだが、アニメにしたら人気が出そうな気がする。

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 まずは三角関係を演じる三人の役者が魅力的だ。主人公の沖田総司を演じる牧瀬里穂は一本調子感があるが、それが女が男を無理してやっている感を醸し出していて、その気丈さが可愛らしい。また土方歳三を演じる杉本哲太も、融通がきかずに自分を追い詰めてしまう多感をこじらせた青年を好演している。彼の最初の登場シーンでの、眼は落ち込み頬はげっそりと痩せこけたモノクロの顔はインパクトがあった。

 

 

 そして坂本龍馬を演じる渡辺謙がとにかく素晴らしい。龍馬を襲撃されても全く動じず、ケタケタと笑いながら親しげに相手に話しかけ、煙に巻くような愛嬌のあるキャラに仕上げている。魅了されるキャラクターだ。敵をバタバタと倒していた主人公が、斬りかかっても言い寄ってくる龍馬にタジタジとなるシーンは可笑しかった。

 

 大政奉還や戊辰戦争など、史実に沿って進みながらも、主人公と龍馬が一緒に軍艦に乗ったり、写真を撮ったりするシーンもある漫画的というか、戯画的なストーリーだ。コミカルな展開の中に、主人公と土方が喧嘩するシーンなど、胸を締めつけるようなグッとくる場面があって、物語に緩急をつけている。

 

 最終的に三人は、歴史の敗残者として描かれる。新選組の二人は分かるとして、坂本龍馬もかと意外だったが、彼の夢だった平和革命が叶わなかったわけなのでそうかもしれない。この三人によるエンディングに至るまでの悲壮感漂うシーンは、いろんな感情が湧きあがって心をかき乱される。青春の終わりを感じさせるようなほろ苦さだ。龍馬が刀を持って飛ぶ姿が、いつまでも心に残り続ける。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 薬師寺光幸

 

原作 幕末純情伝~龍馬を斬った女~ (光文社文庫)


製作 奥山和由

 

製作総指揮 角川春樹

 

出演

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牧瀬里穂/杉本哲太/伊武雅刀/財前直見/石丸謙二郎/榎木孝明/桜金造/松金よね子/木村一八/笑福亭笑瓶/伊藤克信/武野功雄/井手らっきょ/長江英和/金田明夫/ピンクの電話

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幕末純情伝 - Wikipedia

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登場する人物

坂本龍馬/沖田総司/土方歳三/近藤勇/大久保利通/松平容保/桂小五郎/岩倉具視/西郷隆盛/お登勢/岡田以蔵/中村半次郎/井上源三郎/山南敬助/原田左之助/永倉新八/藤堂平助

 

 

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