★★☆☆☆
あらすじ
たまたま道中で知り合った瞽女(ごぜ)と侍は、ある宿場町での争いに巻き込まれてしまう。勝新太郎主演の映画「座頭市」の主人公を女性に置き換えたリメイク作品。
感想
オープニングの一連のアクションシーンは悪くなかったが、その後に訪れる中だるみの時間が辛かった。まったく熱量の感じられない、まったりしっとりとした時間が流れる。そんなにやる気がないなら端折ればいいのに、何のための時間稼ぎなのだ?と思ってしまった。それならいっその事、やりたい事だけやって90分ぐらいにまとめた娯楽映画にして欲しかった。
主役は綾瀬はるかだが、基本的に物語は大沢たかお演じる刀を抜けない侍が中心となって進行する。しかしこの男が腹立たしい。刀が抜けないなら別に木刀で戦ってもいいわけだし、最初から刀を抜いておくとか、いろいろ工夫のしようがあるはずなのに、刀が抜けないという理由だけですべてから逃げている。そのくせ最後はなぜか刀が抜けるようになって美味しいところをかっさらっていく。最後の最後、ぎりぎりまで何もしなかったせいでそれまでの犠牲があまりに大きく、さすがに良かった良かったとは思えなかった。
そんな煮え切らない男をメインに据えた物語の、サブキャラといった扱いの主人公。だがこの時代に、女性がたった一人でお色気を使わずに真正面から敵とやり合ったりしても違和感を感じてしまいそうなので仕方がなかったのかもしれない。途中の回想シーンで、杉本哲太演じる主人公の父親のまさに座頭市のような男が登場するのだが、普通にこの男の物語の方が見たいと思ってしまった。
それから主人公は、本家の勝新太郎のような聖と俗を併せ持つようなカッコ良さはなく、凛とした女性というだけの、あまり魅力を感じないキャラクターだった。何となく「砂の器」を想起させるような暗い過去を描いたりもしていて、どちらかというと業を感じるような切ない人間ドラマを描きたかったのかもしれない。
肝心のアクションはスローモーションの多用が目立ち、一度それが気になってしまうともうそればかりが気になってイライラしてしょうがなかった。クライマックスも思っていたよりもあっさりとしていて拍子抜けだ。薄いヒューマンドラマといまいちなアクションの組み合わせで、あまり良い所なしの映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 曽利文彦
脚本 浅野妙子
出演
中村獅童 (2代目)/窪塚洋介/竹内力/利重剛/佐田真由美/杉本哲太/横山めぐみ/渡辺えり/山下徹大/手塚とおる
音楽 リサ・ジェラルド/マイケル・エドワーズ
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