★★★☆☆
あらすじ
一流シェフによるフルコースを堪能するため、孤島の超高級レストランにやってきたセレブな客たちは、異常な事態が進展していることに気付き始める。
レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトら出演。107分。
感想
孤島の超高級レストランに集ったセレブたちが、惨劇に巻き込まれていく物語だ。
権力を振りかざすグルメ評論家や何を食べているかも分かっていない常連客、流行に乗るだけの成金や訳知り顔の料理オタクなど、一流レストランに集う客たちを皮肉った内容となっている。序盤はそんなことに気付かず、客たちが演出だなんだと勝手に解釈して、感心しているのが面白い。
そんな客の中で、ただひとり異変に気付いている女が主人公だ。彼女は、料理オタクの同伴者の代役として連れて来られた。訳も分からずやってきたので、一流レストランをありがたがる連中とは違う異質の存在だ。予定外の客でもあり、何かと反発する彼女は、場を支配しようとするシェフを戸惑わせる。
そして客をバカにするだけでなく、一流レストラン自体にも批判の目は向けられている。客の食べたいものではなく食べさせたい料理を出そうとするシェフのエゴ、またセクハラさえ起こりうるシェフの独裁的な体制や、それに奴隷のように従ってしまう従業員たちなど、レストラン側の欺瞞も描かれている。
客をいたぶりながらコース料理は進んでいく。ジャンルとしてはブラック・ユーモアたっぷりの映画ということになるのだろうが、ブラックなだけでユーモアは薄い印象だ。分かりづらくて笑っていいのか戸惑う場面が多い。この曖昧さが良いのかもしれないが、個人的にはもっと分かりやすく描いて欲しかった。
笑うことも怖がることも出来ず、身動きできないような心苦しさがある。ただ、主人公が手土産の「本日の献立表」でワイルドに口を拭うラストシーンはキマっていた。美味いチーズバーガーが食べたくなる。
スタッフ/キャスト
監督 マーク・マイロッド
脚本/製作総指揮 セス・リース/ウィル・トレイシー
製作 アダム・マッケイ/ベッツィー・コック/ウィル・フェレル
出演 レイフ・ファインズ/アニャ・テイラー=ジョイ/ニコラス・ホルト/ホン・チャウ/ジョン・レグイザモ/リード・バーニー/ポール・アデルスタイン