★★★★☆
あらすじ
勉強はできるがあまり積極的ではない生徒が、突然生徒会の選挙に立候補すると言い出し、訝る担任教師。テレビドラマの劇場版。
感想
これまでの不良や問題児を相手にする熱血教師ものであれば、その他大勢という扱いだった普通の生徒たちがメインになっている事に新鮮さを感じる。彼らにだって個性はある。そして教師も聖人君子ではなく、妄想したり悩んだり迷ったりしているというのもリアリティがある。
こうやって学校教師ものという定番ジャンルもアップデートされていく。でもきっとこういうのは社会に出た人間がいろいろ経験し、こんな教師がいたら良かったという願望を描いているので、社会に出ていない実際の教師たちは未だに問題を起こす生徒にばかり多くのリソースを割いているのだろう。まぁ、学校も社会ではあるのだが。
教師が生徒たちへかける言葉はなかなか説得力があって感心してしまう。彼らを見守る姿も真摯で、良い先生だなと素直に思う。でも、これはテレビドラマの時に描かれたのかもしれないが、両者に信頼関係が出来ているから成立することだ。冷めているように見える生徒も、結局熱い部分を見せている。教師を信頼せず、無気力になっている生徒のほうがリアリティがあるような気はしてしまう。
それから卒業生がやって来て事件を起こすが、明らかな犯罪行為をされたわけでもないのに、いつまで経っても学校を恨んでいる人間はそれ自体、駄目な気がする。そのあたりはラストの振りになっているのかもしれないが。というか、隙だらけなんだから、土屋太鳳逃げろよ、と何度も思ってしまった。
教師がありがたい言葉をかけるのではなく、生徒に慰められて終わるのも新しい感じがした。ドラマを見てなくても普通に楽しめる映画。
スタッフ/キャスト
監督 河合勇人
原作 鈴木先生 全11巻 完結セット (アクションコミックス)
出演 長谷川博己/田畑智子/でんでん/富田靖子/臼田あさ美/土屋太鳳/松岡茉優/風間俊介/浜野謙太/窪田正孝
音楽 大友良英