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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「一度死んでみた」 2020

一度死んでみた

★★☆☆☆

 

あらすじ

 内通者を探すために新薬を使って仮死状態になるも、騙されてそのまま火葬されそうになっている製薬会社社長の父親を救出するために奮闘する娘。93分。

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感想

 開発した新薬で仮死状態になり、そのまま火葬されそうになっている父親を、娘が何とか救出しようとする物語だ。荒唐無稽な設定からも想像がつくが、その間のドタバタぶりを描くコメディとなっている。だが全然面白くない。

 

 その要因は、本筋である父親を救うことに対する真剣さが一切感じられないからだろう。娘である主人公は、父親が嫌いなことを強調したいがために、一応助けるけど正直どっちでもいい、みたいな態度に見えてしまう。劇中で何度かタイムリミットとなる火葬の時間が表示されるのだが、誰も気にしちゃいないので何の焦燥感もない。

 

 

 そして、父親が仮死状態になったそもそもの理由である社内の内通者を探すことについても、誰もやってない。父親は右腕の男に任せたつもりなのかもしれないが、死後も幽霊的に動けることが分かったのなら普通は自分でも調べようとするはずだ。相手に気付かれずに色々出来るのだからむしろ都合がいい。

 

 父親を救うために奔走するでもなく、内通者を探すでもなく、弛緩しきった時間が流れていく。

 

 皆が必死に父親を生き返らせようと懸命になっている緊張感の中でやるからこそ笑いが生きてくるものなのに、皆がお笑いファーストで笑かすことばかり考えているゆるゆるな空気の中では、何をやっても笑えるはずがない。本筋をしっかりとやってちゃんと緩急を作らないといけなかった。これではただの悪ふざけにしか見えず、「ヘラヘラしてないで真面目にやれ!」と偉い人に怒られるやつだ。

 

 ただ、物語としては意外としっかり伏線が張られていて、実は良く出来ている。ちゃんとやったらかなりいいコメディ映画になったかもしれない。だが、多分監督がそれを全然理解してなくて、広瀬すずがデスメタルをやるアイデアにひとり興奮し、それで満足してしまっている。おかげで豪華な出演陣に甘え、広瀬すずにおんぶにだっこの映画となっている。

 

 広瀬すずをはじめとする役者陣はちゃんとコメディーをやっているのだが、そもそもの大前提であるコメディーをやる環境が整えられていないので、どう頑張ろうとも空回りにならざるを得ない。

 

 90分ほどの短い映画だが、こっちが一度死んでみたくなるくらい長く感じた。

 

スタッフ/キャスト

監督 浜崎慎治

 

脚本 澤本嘉光

 

出演 広瀬すず/吉沢亮

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リリー・フランキー/小澤征悦/嶋田久作/木村多江/松田翔太/加藤諒/でんでん/前野朋哉/清水伸/遠山大輔/西野七瀬/城田優/原日出子/真壁刀義/本間朋晃/野口聡一(JAXA 宇宙飛行士)/佐藤健/池田エライザ/志尊淳/古田新太/大友康平/竹中直人/森下熊幸/眞鍋かをり

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音楽 ヒャダイン

 

一度死んでみた - Wikipedia

 

 

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