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「アフターマス」 2017

アフターマス(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 飛行機事故で妻と娘を失った男と、事故を招く当事者となってしまった管制塔勤務の男。実話をもとにした物語。

 

感想

 アーノルド・シュワルツェネッガー主演という事で、事前情報なしでお気楽に見られるアクション映画と勝手に思い込んで見始めたのだが、全然違って多数の死者を出した飛行機事故をめぐるかなり重い内容だった。

 

 まず事故を招いた管制塔勤務の男。そもそも管制塔がワンオペ状態になることがあること自体に驚く。さらには通信機器のメンテ作業をオペレーション中に行うのもすごいが、こちらは24時間体制の空港だったら仕方がないのかもしれない。いくつもの偶然が重なって適切なオペレーションが行えず、男は飛行機の衝突事故を招いてしまう。

 

 

 当然この男が自責の念にさいなまれるのは理解できるが、この時席を外していた男やその他関係者もそうなりそうなものだがそれは全く描かれない。幸せだった男の家庭は、事故をきっかけに脆く崩れ去る。ただ、ボロボロだった男の生活も長い時間をかけて少しずつ立ち直っていく。

 

 一方の被害者の家族であるアーノルド・シュワルツェネッガー演じる主人公。悲しみに明け暮れ、航空会社の賠償の話も金の話ばかりで、謝罪がないと突っぱねる。時間と共に彼も少しずつ立ち直りを見せるが、誠意を感じない航空会社の対応には心のわだかまりは消えていない。

 

 管制官に勤めていた男の住所を聞き出し、謝罪を求めに会いに行く主人公。この二人が直接顔を合わせることで事件が起きる。これが実話だからすごい話だ。ただ主人公は分別のある男のように描かれていたが、不意打ちのように訪れるのはどうだったのだろう。ちゃんとアポを取って行くとかすれば良かったのにと思ってしまう。でも警戒されて警察や弁護士が出てくる恐れがあったから仕方がないのか。さらには武器を携帯しているわけだから、謝罪を求めるというのはポーズでしかなくて、最初からその気だったのだろうな、と思う。

 

 オペレーションに問題があったかもしれないにせよこれは飛行機事故で、勿論男に悪意があったわけではなく故意でもなく、しかもその後苦悩してボロボロになった姿を見せられているだけに、主人公の行為は軽率じゃないかと思ってしまった。気持ちは分かるが。その男が無責任な態度を取ったりしたならまだしも、そうじゃないなら怒りをぶつける相手は空港や飛行機会社の上層部でないと。

 

 こういうのを見ていると、安易に謝罪してはいけないという風潮は本当にクソだなと思ってしまう。被害者にしてみれば賠償の話とか始める前に、先ず謝罪しろよと思う気持ちは十分に理解できる。それがないばかりに話がこじれてしまう。この映画でも管制塔の男は事故直後に直接被害者たちに会っていれば謝罪していただろうに、会社や弁護士の思惑がそれをさせなかった。

 

 ラストは出所した主人公に報いの時が訪れるというなかなか重厚感のある内容。事故やその後の処理の詳細が描かれないのは逆に主人公と男の心境にフォーカスするという意味で悪くないと思ったが、主人公の描写が単調すぎるように思える。色んな感情がぐるぐるしながら最終的にあの行動になった、という方が説得力があったかもしれない。

 

 序盤にシュワルツェネッガーの裸が登場して何のサービスショット?と思ってしまった。ターミネーターといい、やっぱり本人が見せたがっているのかもしれない。それから、子犬だったら毛並みがきれいと言いたくなるような、見事な髭面だった。まったく本題とは関係ないのだが。 

 

スタッフ/キャスト

監督 エリオット・レスター

 

製作 スコット・フランクリン/ランドール・エメット/エリック・ワトソン/ジョージ・ファーラ/ピーター・ディールバート/ダーレン・アロノフスキー

 

製作/出演 アーノルド・シュワルツェネッガー

 

出演 スクート・マクネイリー/マギー・グレイス/グレン・モーシャワー/マーティン・ドノヴァン/ハンナ・ウェア/ケヴィン・ゼガーズ

 

アフターマス(字幕版)

アフターマス(字幕版)

 

アフターマス (映画) - Wikipedia

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