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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ズートピア」 2016

ズートピア (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 両親の心配をよそに、夢だった警察官になったウサギの少女。しかし、小型の草食動物という事で思うような仕事を任せてもらえず苦悩する。

 

感想

 物語の世界観の紹介から主人公の立場の説明、そして地道な努力の末に幼い頃からの夢を叶え警察官になったという本題に入るまでにしておかないといけない前提条件の描き方が見事。説明的にならず、冗長にならずテンポよく、そして観客の気分を盛り上げる様な描き方。すんなりと物語に入っていける。

 

 すべての動物が仲良く暮らす社会。獰猛だった肉食動物からおとなしい草食動物まで、象やキリンといった大型の動物からネズミのような小動物まで多種多様な動物たちが一緒に暮らしている。まさにダイバーシティ、多様性のある社会で、これを見ていたら人間の社会なんて大したことないなとさえ思ってしまう。

 

 

 それぞれの動物のサイズに合った電車の入り口が用意されていたり、大型の動物の中では小さく、ネズミなどの小型動物の中にいれば大きいというウサギの主人公の描写が面白い。実写では描けない、まさにCGアニメだからこそできる表現。

 

 

 警官になる夢を叶えた主人公だが、大型動物ばかりの警察で、中型の草食動物のウサギである主人公は上司に期待されず、簡単な仕事しか与えられない。現実社会にある偏見や差別の問題を連想させる。映画の中ではほとんど強調されていないが、主人公が女だという事も、現実社会の差別を暗示していると言えるかもしれない。

 

 主人公が与えられた地味な任務をこなす中で、ひょんなことから任されたあるカワウソの失踪事件の捜索。こちらもたまたま知り合った「ずるがしこい」という偏見を持たれているキツネの男と共に捜査し、それが重大事件の解決にもつながっていく。期待されていなかった主人公が、偏見の目をはねつけて大活躍するという胸のすく話だ。

 

 ここでめでたしめでたしで終わっても何の問題もないのだが、さらに物語は続く。映画は、偏見に苦しめられていた主人公だが、そんな彼女も偏見の目で他の動物たちを見ているのではないか?という問題提起。被害者はいつも被害者ではなく、加害者になることもある。被害者のつもりでいたのに、気がつくといつの間にか加害者になっていることもある。

 

 もしかしたら自分も何かを偏見の目で見ているかもしれないと考えさせられてしまうような展開だ。単純な新人警官の成長物語ではなく、深みのある物語となっている。そしてそんな内容なのに、全く説教臭くなく普通に楽しく見られるエンターテイメント作品になっているのがすごい。ほとんど文句のつけようがないような完成度の高い作品に仕上がっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/原案 リッチ・ムーア/バイロン・ハワード


監督/脚本/原案 ジャレド・ブッシュ

 

製作総指揮 ジョン・ラセター

 

出演(声) ジニファー・グッドウィン/ジェイソン・ベイトマン/キャス・スーシー/イドリス・エルバ/ジェニー・スレイト/ネイト・トレンス/ボニー・ハント/J. K. シモンズ/オクタヴィア・スペンサー/アラン・テュディック/シャキーラ/タイニー・リスター・Jr./ジョン・ディマジオ/モーリス・ラマーシュ/クリステン・ベル

 

ズートピア (字幕版)

ズートピア (字幕版)

 

ズートピア - Wikipedia

 

 

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