★★★☆☆
あらすじ
高校スポーツの花形選手でミスアメリカの州代表になった女性と結婚した男のその後の人生。
ユアン・マクレガー監督・主演。ジェニファー・コネリー、ダコタ・ファニングら出演。フィリップ・ロス原作。原題は「American Pastoral」。108分。
感想
スポーツ万能で将来は社長、妻は美人と、前途洋々な人生だと誰もが思っていた男がたどったのは、皆が思ってもいない人生だった。公民権運動や反戦運動、精神科医や怪しい信仰宗教などが登場し、彼の人生を通してアメリカ社会を描きたかったようにみえるが、それは失敗している。
アメリカ社会を描いたというよりは、ただ反戦運動にのめり込んだ娘を持ってしまった一家というだけの話だ。社会のブームの波をうまく乗りこなせず、一つの波に足をすくわれてしまった。世の中では様々なムーブメントが起こるが、大衆のほとんどはファッション的にそれを消費して、ある程度の時が過ぎればまた次に移っていく。本当にのめり込んで人生をかける人の方が少ない。それに全人生をかけてしまった娘を持った一家の悲劇といえるだろう。
それにしても主人公は全く何も悪くないのに、悲しい人生になってしまったというのが切ない。黒人労働者を雇って公正に扱い、妻には愛情を尽くし、娘の政治的活動にも理解を示していた。当時の世の男たちと比べたらよっぽど立派な男だろう。それなのに妻や娘には裏切られる。
主人公はいい人間なのに次々と不幸に見舞われて、観ているこちらとしてはとにかくつらい。救いが何もないただただ暗いストーリーだ。まるで苦行をしているような気分になった。どこかにほっと一息つけるような瞬間が欲しかった。
しかし、反戦運動に身を投じテロリストとなった娘が、その後はあらゆる生き物を殺さないという戒律の宗教にのめり込んでいて、その極端さに思わず笑ってしまった。分かりやすいものばかりに感化されてしまって、いかにも頭が悪そうだ。
そういう人がいいように利用されて最前線に立たされるというのは、あるあるなのかもしれない。いまでもバカみたいな政治的な事件を起こして捕まるのはそういう人たちだ。彼らをたきつけている人たちは安全な場所を確保して高みの見物をしている。
スタッフ/キャスト
監督/出演
脚本 ジョン・ロマーノ
原作 American Pastoral (Vintage Classics)
出演 ジェニファー・コネリー/ダコタ・ファニング/ピーター・リーガート/ルパート・エヴァンス/モリー・パーカー/ヴァロリー・カリー/サマンサ・マシス/デヴィッド・ストラザーン
