★★★☆☆
あらすじ
円満な初老の夫婦と彼らのもとに集まる人々の一年。
感想
地質学者とカウンセラーというしっかりとした職を持ち、家庭では一緒に市民菜園での作業に精を出し、時々、知人友人を家に招いて食事をして会話を楽しむ夫婦。その仲良しぶりが微笑ましい。菜園の小さな納屋のような所に座って、雨宿りしながら二人でお茶を飲む姿は何とも言えず良かった。
そして彼らのもとに集まる仲間たち。彼らとは違って独身で孤独を抱える妻の同僚の女性や夫の地元の友人。彼らの愚痴を聞きながらも、機転を利かせて楽しい雰囲気を壊さない夫婦のホスピタリティーに感心する。
そんな充実した生活を送る夫婦が孤独な人々の心を癒していく、というハートウォーミングな物語と思って見ていたのだが、最終的には様相が変わってしまって驚いてしまった。
考えてみれば少し変に思うシーンはいくつかあった。妻の同僚が購入した車で現れて皆を驚かせようとしたのに誰もすぐには車を見に行かなかったり、夫の地元の友人が寂しいと泣いても抱きしめはするがそれ以上は積極的に何もしなかったり。夫の兄の妻が死んだのに、その地元の友人が葬儀に現れないのも少し不思議な気がした。
友人も家族同様として扱うのではなく、あくまでも家族は家族、友人は友人として見ているのだろう。家族には力を貸すが、それ以外の人は自分たちで何とかしてくれ、という付き合い方。その範囲でなら楽しく付き合うが、そう出来ない人は、自分たちのグループからは外れてもらう。気さくな感じだった夫婦が、妻の同僚に冷たい態度を取るのはかなりショッキングだった。
ただ、だからといってこの夫婦を酷いとなじるわけにはいかないだろう。それが彼らのルールというだけだ。他人によってそれを変える必要はないし、だからこそ気さくな良い夫婦でいられるという事もあるかもしれない。
そう理解はできるのだが、見始めた時に想像していたラストとは違う結末がやって来て、結構精神的にキツいものがあった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 マイク・リー
出演 ジム・ブロードベント/レスリー・マンヴィル/ルース・シーン/デイビッド・ブラッドリー/フィリップ・デイヴィス/イメルダ・スタウントン/ラルフ・アイネソン