★★★☆☆
あらすじ
図書館に通い、本の中の野球に関する文章を書き写す男。
感想
1985年優勝当時の阪神の選手たちが多数登場し、おかしなことを言ったり、精神病院に収容されたり、アダルトビデオの男優になったりと、無茶苦茶なことになっていて、問題はなかったのかと心配してしまった。
そんな風でふざけたというか、人を喰ったような内容なのだが、哲学的だったり不条理だったり、抽象的だったりでなかなか難解。面白みのあることを書いているのは理解できるのだが、楽しめないのは読み手のレベルが問題なのだろう。ただ、時代が違うというのも大きいはず。多分これは狙っていると思うのだが、阪神の優勝で湧いたあの当時の人々が、そのとき読むことだけを想定しているような気がする。
7つの章に分かれていて、それぞれが独立したような断片的な内容のように思えるのだが、最後まで読んでみるとなんとなくつながりがあることが分かってくる。時系列を意識して読み直してみると、あの章に登場するあの人物はバースで、この人物は掛布だったのか、というのが分かってちょっと面白い。
ただそれでもやっぱり良く分からない、というのが素直な感想だ。
著者
高橋源一郎
登場する作品
「実体の本性および実体の交通ならびに精神物体間に存する結合についての新説」 ライプニッツ
近代経済学の史的展開 軽装版―ケインズ革命以後の現代資本主義像
ライ麦畑でつかまえて―The catcher in the rye (講談社英語文庫) (Kodansha English library)
「La description du monde. texte intégral en français moderne. par marco polo(世界の叙述)」