★★★★☆
あらすじ
近未来、AIの暴走に脅えて開発をやめた欧米と、それを継続したアジアは対立する。かつてアジアで潜入捜査をしていた男は、死んだと思っていた現地の妻を探すため、再び作戦に参加して現地に向かう。
感想
AIをめぐる物語だ。中国を念頭に置いているのかもしれないが、ロボットに対する考え方が違いそうな欧米とアジアが対立する構図となっている。
東京や香港的な混沌とした大都会や東南アジア的な緑あふれる田園風景、島のかたちが特徴的な島嶼部など、アジアらしい風景にハイテクがちゃんぽんされたSFの世界観が面白い。そこで話される言葉も様々で、色んな言葉が聞こえてくる。
ただ、テーマとなっているAIだが、自分のイメージとは違った。AIとはあらゆるガジェットに組み込まれ、人間とは切っても切り離せないような身近な存在となるものと自分はイメージしていたが、この映画の中ではほぼAIイコールロボットだった。彼らは勝手に動くのみで、あまり人間の身近で役に立つ存在ではなかった。AIよりもロボットの映画と考えた方が良さそうだ。
潜入捜査がバレて母国に戻った主人公が、死んだと思っていた妻を探すため、再び作戦に参加してアジアに戻ってくる。作戦の対象だった子供のロボットを保護しつつ妻を探す主人公は、ただのAIだと最初は気にも留めなかったロボットに対する考えが少しずつ変わっていく。
監督の作風ではあるが、あまり派手なシーンはなく、物静かな雰囲気で物語は進行する。多少眠たくなる時間帯もないわけではなかったが、着実に核心へと迫っていく様子には引きつけられる。そして序盤ではありえなかった主人公の行動で幕を閉じる。
そもそも義手や義足を使用する主人公はロボットに近いところがあるし、途中でロボットに恋愛感情を示す友人を登場させたりして、随所に人間とロボットはたいして変わらない、と思わせるようなシーンが散りばめられていた。
考えてみれば、愛だとか友情だとか、人間特有の感情というものも、幻想とまではいわないが、ある種のプログラムみたいなものだろう。それをプログラミングされたロボットとの違いなんて分からないかもしれない。当然の結末だったと言えるかもしれない。
古典的ではあるが、人間とは何か、ロボットとの違いとは何か、と考えさせられる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案/製作 ギャレス・エドワーズ
脚本 クリス・ワイツ
出演 ジョン・デヴィッド・ワシントン/ジェンマ・チャン/スタージル・シンプソン/マデリン・ユナ・ヴォイルズ/アリソン・ジャネイ/ラルフ・アイネソン/ヴェロニカ・ンゴー
音楽 ハンス・ジマー

