★★★★☆
あらすじ
調査会社に勤める女は、行方不明になった女子高生を探すため、裏社会で有名な女探偵に協力を依頼する。
フランス文学。
感想
素行調査中の女子高生が姿を消し、依頼主の祖母の苦情に対応するため、行方を追うことになった調査会社の女が主人公だ。それほどやる気のない彼女は、裏社会で有名な女探偵に助けを求め、一緒に探すことになる。
二人は、女子高生の行方を探すため、家族や知り合いへの聞き込みを進める。主人公と他の登場人物たちが交互に語り手となっていく形式で、捜索のミステリーよりも、関係者それぞれのドラマを浮き彫りにすることに主眼が置かれた物語だ。
そんな物語の中心となるのは、主人公の相棒となる「ハイエナ」と呼ばれる女探偵だ。相手の心を読むことが出来て、臆することなくズカズカと踏み込んでいく。彼女は主人公にすら容赦なく、世に拗ねて、人生をあきらめかけていると見透かして、子供扱いしている。彼女が、出会った人々の肌のきめ細かさに言及することが多いのが印象的だが、確かに年齢に関わらず、人生が充実しているかどうかは肌つやに現れるものなのかもしれない。
二人の捜索の旅はフランスからスペインへと移っていく。ハイエナはどこに行っても知り合いがいて、レズビアンである彼女が女性たちと妖し気に楽しんでいるのが面白い。主人公もいつの間にかそれに影響されて、急にやる気になったりしている。
スペインで女子高生は無事発見され、彼女たちの旅は終わる。だが、ハイエナが何かに気付くも本人の意思に任せるとそのまま帰した女子高生は、とんでもない事件を起こしてしまう。フランスはこういうことが身近に感じるほど危険な状況だったのかと、今さらながら認識する。実際にこの頃のフランスでは、色々な事件が起きていた。
彼女たちが出会った人々のドラマにも、そんな出来事につながるような社会問題が潜んでいた。完璧でスペシャルな存在に見えたハイエナにも、様々な過去を経て今があることを教えてくれるドラマが挿入されていて、物語に深みを与えている。
社会には問題を抱えた人がたくさんいて、それがどこかにひずみを生んで事件が起きる。それを解決するには、その人だけでなく、世の人々が抱えているすべての問題を一つずつ地道に解消していくしかないのだろう。自己責任などと言って放っておくと、いつか自分が事件に巻き込まれてしまう可能性もある。
著者
ヴィルジニー・デパント
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