★★★★☆
あらすじ
マフィアに憧れた少年の栄光と転落の人生。
感想
子供は身近の金回りのいい人間に憧れる。テレビを見て芸能人や歌手に憧れたり、スポーツ選手を夢見たりするのはそういうことなんだろう。そして、もっと身近な羽振りの良い存在がヤクザやマフィアというものなのかもしれない。彼らが大手を振って歩いているような場所なら。そして歌手やスポーツ選手よりもなりやすい。そう考えると環境って大事だ。主人公も生まれる場所が違っていれば、そんなものに憧れなかったはず。
マフィアたちは、本人たちのみならず、家族ぐるみでいつもつるんでいる。徒党を組み結束を強めて、他の集団との争いに打ち勝ち、ある地域を支配するのが彼らの目的なので当然ではあるが、それとは逆に集団内の仲間を監視をするためという側面もあるのだな、ということが良く分かる。
家族ぐるみでいつも一緒にいて、他の集団とは関わりを持たないことで、何かが起きたらよく知っている集団内の誰かに頼るしかない。そんな状況を作ることで、誰がどんな問題を抱えているのか、簡単に把握できる。また、夫婦間の痴話喧嘩から、重要な情報が外に漏れないように気を配ることも出来る。そして危険だと感じれば、仲間であろうと容赦なく消してしまう。上手くできていると言えばできている。いつかは仲間に殺されるかもしれないと思いながらも、それでもつるむしかないというのはちょっと悲しいが。
FBIの追跡を恐れる主人公の神経質なまでの警戒に対して、周りの人間の無頓着ぶりが如実に現れている、主人公が捕まった日の描写が面白い。こういう一つのことに対する認識のずれが、仲違いや組織の崩壊を生むのだろう。主人公のイライラぶりが痛いほど良く分かる。
その他にも、色々なパターンの面白い演出があって、マフィアたちの日常に見入ってしまう。存在感を放つロバート・デ・ニーロやジョー・ペシも良くて、少し主演のレイ・リオッタが可哀想。彼のおかげでその他の登場人物が引き立てられている訳ではあるのだが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 マーティン・スコセッシ
製作 アーウィン・ウィンクラー
出演 レイ・リオッタ
ジョー・ペシ/ロレイン・ブラッコ/ポール・ソルヴィノ/フランク・シベロ/マイク・スター/フランク・ヴィンセント/フランク・ディレオ/トニー・シリコ/デビ・メイザー/イリーナ・ダグラス/マイケル・インペリオリ/トビン・ベル/ヴィンセント・ギャロ
この作品が登場する作品